2009年12月17日木曜日

日本語能力試験

12月6日(日)は日本語能力試験の日でしたね。みなさんの中でもテストを受けた方がたくさんいるでしょうね。私の友人のアメリカ人は今回一級に挑戦しました。とても難しかったと言っていました。みなさんも長い試験の後で疲れて、帰宅したと思います。

友人がテストの2時間ぐらい後に、家のコンピューターで試験に出た漢字のチェックをしようとしたら、何と、その日の試験問題と答えがインターネット上に、すでに出ていたそうです!!信じられないですね?!だれが、何のためにこんな事をするんでしょう??

テストは世界各地で行われていますから、日本で最初にテストが始まって、すぐにその問題と答えがネット上に流れれば、数時間後にテストが行われる他の国の受験者はテストの前に問題を見られることになりますね。

日本と17時間の時差があるカリフォルニアで試験を受ける人は試験問題を読む時間が十分にあることになります。彼らはラッキーなんでしょうか?
それに、もしかしたら、テストの日の前にだれかが問題を手に入れて、日本での試験開始前に問題と答えを発表していた可能性もありますよね?

多分、自分の日本語のレベルをチェックすることだけが目的の人には、試験の前に問題を見たいという気持ちはないですよね。試験会場で自分の力を試すことが大切なのですから。
でも、1級や2級に合格すれば、仕事が見つかるとか、日本の大学に入れるとか、こういう目的がある人には、すごーく欲しいものなのでしょうか?

いっしょうけんめい勉強して、テストを受けた方たちはこの事をどう思いますか?

2009年12月11日金曜日

国に帰って、クリスマス!

あっという間に12月ですね。12月は忘年会、クリスマス会、冬休みの旅行など、みなさん忙しくしているのではないでしょうか?日本では昔、12月を「師走」(しわす)と呼んでいました。「師」は現代では「教師」の「師」ですが、昔は「おぼうさん」の意味があって、12月は「ふだんは落ち着いているお坊さんが走るほど、忙しい月」という訳です。

日本に住んでいる外国人の方は、クリスマスの前に自分の国へ帰る人が多いですね。自分の国で家族と久しぶりに会って、好きな物を食べて、楽しい冬休みを過ごすのは素敵ですね。

さて、今日は基本の動詞「帰る」がテーマです。辞書によると、「帰る」の意味は「初めにいた所、または、もといた所にもどる」、英語では"return, go/ come back"になりますね。しかし、これだけでは説明が足りません。それで、外国人が「帰る」を使う時、間違えが多くなります。
   外国人があるレストランでおいしい料理を食べた時:
   「この店にまた帰りたい!」

実は、この「帰る」の使い方を外国人から何度も聞いて、「何か変だな~」と感じて、私も「帰る」の正しい使い方に気がつきました。(辞書の意味だけでは、その単語の使い方や正しいシチュエーションがわからないという良い例です。)辞書の意味に下記のことを追加しなくてはなりません!

   帰る:話し手が属している場所(例えば、家、会社、国など)に戻る

ですから、次の例文は正しい使い方です。

  • 今日は7時に家に帰る
  • お客さんの会社に行った後、会社に帰る
  • (日本に住んでいるアメリカ人が)クリスマスにアメリカに帰る

でも、食事をしに行ったレストランは話し手が所属している場所ではないので、「お客さんがレストランに帰る」というのは変なのです。その場合は次のように言います。

  この店の料理はおいしいから、また/もう一度 来たい。

また、日本に住んでいる外国人には自分の国はもちろん「帰る場所」ですが、今は日本に住んでいるので、日本も所属している場所と言えます。ですから、例えば、日本に住んでいるアメリカ人が休みの後で、アメリカから日本に来る場合は

  • 一月に日本に帰る
  • 一月に日本に帰って来る。   *「~て来る」は「話し手が今いる場所に帰る」という意味

それから、「戻る」も「帰る」と同じ意味ですね。でも、「戻る」は「今いる場所に帰る」という意味が強い感じがします。だから、英語の"I will be back soon."は「すぐ戻るよ」の方が「すぐ帰るよ」より、合っていると思います。「すぐ戻って来るよ」「すぐ帰って来るよ」は同じ感じだと思います。

ご自分の国に帰る人も帰らない人も、楽しい12月を過ごしてくださいね。パーティーでは飲みすぎないように!

2009年11月7日土曜日

150年前に日本語を習う

先日、静岡県伊豆半島下田市に行ってきました。着いた日は天気がとても良くて、ボートで海に行くことができて、とても楽しかったです。

下田は、日本の歴史上、有名な場所です。下田といえば、米国人のペリー。江戸時代は1853年、鎖国(さこく:外国との交流をしないこと)をしていた日本に対して、開国を要求しに来日しました。そして、1854年に徳川幕府(とくがわばくふ)が開港を許すと、ペリーとアメリカの船は下田港に入り、下田で幕府と日米間の条約を結びました。つまり、下田はサムライ時代の日本人に西洋の進んだ技術や文明を見せつけた大切な場所の一つなんですね。ここから、日本の大変化が始まった訳です。

そして、この時代にも外国語を勉強して、外国人と話をして、国と国の交渉をしていた人たちがいました、もちろん。その中で特に優秀で、日本史でかなり有名な人がいます。その人はイギリスの外交官で、通訳として働いていたアーネスト・サトー。1862年8月に日本に来て、横浜で日本語を自分で学んだそうです。
彼は言語を学ぶことにおいて驚嘆(きょうたん)すべき才能を持っており、ごく短期間に大名(だいみょう)とも喋れ、町人とも喋れ、しかも候文(そうろうぶん)を読み書きできるという能力を身につけた。(*1)

「大名」とはある程度以上のさむらいのことで、「町人」とは商業をしている人たちのことです。さむらいと町人はちがう日本語を使っていたそうです。「候文」とは昔の敬語のようなものです。つまり、アーネスト・サトーは複数のタイプの日本語ができて、しかも現代以上に漢字の多い日本語を理解できたのですね。

以前、私はこのサトーさんをイギリス人と日本人のハーフだと思っていました。だから、彼は日本語がぺらぺらなんだと思っていたんです。でも、彼は100%のイギリス人、Ernest Satow だったんです!ちなみに、彼は語学能力だけでなく、外交能力も天才的で、江戸末期の大混乱の日本をよく観察し、当時の日本の政治に大きな影響を与えました。

外国語の勉強はいつの時代もおもしろくて、難しいと思います。でも、昔と比べると、現代はもっと多くの学習方法があって、恵まれていますよね。昔の人たちを見習って、私たちもがんばりましょうね。



下田の夕日

*1 『世に棲む日日(三)』 司馬遼太郎、文芸春秋、2003年

2009年10月26日月曜日

眠い=疲れる??

とつぜんですが、皆さんは 最近 よく寝られますか?残念なことですが、私のまわりでは「よく寝られない」という声を多数、聞きます。寝る前に色々なことを考えたり、悩んだりして、眠れないことは、みんな経験がありますよね。私もありますが、たいてい私はベッドに入ると、5分後には寝ています。悩みがあっても、寝られます。これは本当に良い体質だと思っています。心配事があって、寝られないと、心も体も疲れてしまいますよね・・・

では、ここで日本語の話をします。私の感覚(多分、ほとんどの日本人の感覚)では、「眠い」と「疲れている」は違う状態です。

「眠い」は、寝たいと感じる状態。その理由は疲れているから、とか、夜遅いから、などがあります。

「疲れている」は、体や頭を長い時間使って、体力や気力、エネルギーがなくなる状態。

「疲れている」状態と「眠い」状態を同時に感じることはもちろん、あります。例えば、長時間勉強をした後で、だんだん飽きてきた場合。

でも、「疲れている」からといって、必ずしも「眠い」とは限らないと私は思います。とてもエキサイティングなことをした後で、体は疲れているけど、逆に頭はさえているとか、興奮して、「眠い」と感じないこともありますよね。だから、私は「眠い」と「疲れている」は、関連もしていますが、別々の状態だと考えます。

しかし、英語圏の人と話していると、英語の感覚では"sleepy" と"tired"は日本語以上に重なっているのかな~と思う時があります。「疲れている」の意味は英語で何?と私が確認すると、"sleepy" "tired"と認識している人が多いんですね。反対に、"tired"は日本語で何?と日本人に聞いてみたら、ほぼ100%「疲れている」と答えると思います。「眠い」と答える人はいないと思いますよ。辞書によると、
sleepy: needing or ready to go to sleep

tired: feeling that one would like to sleep or rest

やっぱり、"tired"の定義に、"sleep"という単語が入っています。日本語の「眠い」という感覚が「疲れている」に含まれているんですね。「疲れているから、眠い」という日本語の文が、英語では"tired"一言で表せると考えていいのですか?

ところで、日本では寝られない時に、「羊の数を数えると、眠れる」と言われています。きっと西洋から来た風習でしょうが、皆さんの国ではどうですか?羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹・・・



2009年9月30日水曜日

crowded=こんでいる? busy=こんでいる?

先週はシルバーウィーク!皆さんの休みは楽しかったですか?「シルバーウィーク」とは聞きなれない名前ですね。それもそのはず、今回の休みから新しい休みのシステムが始まり、それにともなって、使われるようになった名前です。祝日と祝日の間に一日だけ平日がある場合に、その平日も祝日にして、連休を作ろうという、国民にやさしい政府のプランです。でも、民主党・鳩山(はとやま)政権になったから、始まったものではありません。前の政府が決めたものです。

2009年9月は21日と23日が祝日だったので、22日も祝日になったのです。でも、9月第三月曜日の祝日の日は年によって、変わるので、毎年シルバーウィークができるわけではありません。次のシルバーウィークは2015年9月までやって来ないんですよ。残念!
シルバーウィークの天気は悪くなかったし、多くの所はこんでいましたね。電車や飛行機、道路などもこんでいました。

この「こんでいる」という単語、私は中学の英語の教科書で、「こんでいる」="crowded"と習いました。 その時から10年ぐらい、「こんでいる」="crowded"と思っていました。もちろん、これは正しいのですが、日本語を教え始めて、たくさんの人の英語を聞くようになって、私は気がついたことがありました。日本語で「こんでいる」と言うべき時に、英語圏の人が「忙しい」を使うのです。私は教科書から、「忙しい」="busy"と理解していたので、「こんでいる」="busy"??とびっくりしました。

辞書をひいてみると、

こんでいる:人、物などがその場所いっぱいに集まる。 例)電車がこんでいる。道路がこんでいる

crowded: having (too) many people, example) crowded buses, roads, hotels

これは、全く同じですね。次は、

忙しい:することが多くて、ひまがない。 例)大売り出しの準備で忙しい。猫の手も借りたいほど忙しい

busy: 1) having much to do, working, occuppied, example) Doctors are busy people. She is busy at her homework.

busy: 2) full of activity, example) a busy day, life. a busy office, street, town
「いそがしい」は「人」について、することが多いとか、ひまな時間がないとかを描写しています。したがって、"busy"1は、「忙しい」と訳せます。例えば、

医者は忙しい人たちです。 彼女は宿題で忙しい。

"busy"2は 「忙しい日」「忙しい生活」と訳すことができます。ある人はすることが多くて、ひまがないので、彼/彼女の一日は忙しくなる、または生活はいそがしくなるのでしょう。

そして、「忙しいオフィス」も大丈夫でしょう。そのオフィスで働く人たちは仕事が多くて、ひまがないので、オフィス全体が忙くなります。

でも、「忙しい通り」「忙しい町」というのはちょっと変です。a busy street, townというのは「そこに人がたくさんいて、そこで色々なことが起きている」という意味なのでしょうね。でも、そこにいる人たちがすることが多いか、どうかはわかりませんね。ただ歩いているだけかもしれません。だから、「そこに人がたくさんいること」を表すためには、「通りはこんでいる」「町はこんでいる」と言います。

例えば、あるレストランにたくさんのお客さんがいると、店員は仕事が多くて、たくさん働かなければならない。この場合は、「このお店はこんでいる」「店員は忙しい」となります。「このお店は忙しい」と英語圏の人が言うのを何回も聞いたことがありますが、日本語ではこれは言いません。

基本的な単語ですけど、直訳ができないことがあるんですね。意味や使い方のちがいに気をつけないといけないですね。

2009年9月8日火曜日

「さがす」と「見つける」

9月ですね。残暑はありますが、真夏の暑さは終わり、朝夕には秋風も吹いています。季節の変化を感じる今日このごろです。そして、夏休みが終わり、これから日本語の勉強をがんばってみよう!と決意した方も多いのではないでしょうか?

私は3年ぶりにフランスへ旅行しました。3年前はフランス語が全くわからなかったけど、今回はたくさんの単語や文章が読めたし、少~しだけ聞き取りもできるようになりました。フランス語の文全体を聞きとるのは大変ですが、文の最後の単語だけは聞きやすくて、それが知っている単語だと「あっ、わかった!」と、うれしく感じました。
旅行中ある時、レストランで紙ナプキンがありませんでした。

フランス人の友人→店員: 紙ナプキンはありますか?(もちろん、フランス語で)

店員: ○□△×☆♡????chercher.

*私がわかったのは最後の単語、chercherだけでした。chercherは日本語で「さがす」。

私→友人: 店員はナプキンをさがすだけ?見つけて、持って来てくれないの

友人→私: ちがうよ、この場合、chercher見つけるの意味も含んでいる。


う~ん、私は前から外国人が「さがす」と「見つける」を使う時に、違和感(いわかん)を感じていたんです。フランスでは、私が「さがす」と理解している単語、chercherの使い方に日本語とのちがいを感じました。ここで、辞書の定義を見てみましょう。
  • さがす: 必要なものや、失くしたものを見つけようとする


  • 見つける: さがしていたものを発見する


  • look for: search for, try to find somebody/something


  • find: discover somebody/something unexpectedly, discover somebody/something by searching

こうしてみると、「さがすlook for」、「見つけるfind」の意味は同じようです。でも、実際にはlook forchercherには「さがして見つける」という「過程と結果」両方が含まれているのではないでしょうか?これに対して、日本語では「さがす」と「見つける」は別々のものだと私は認識しています。

さがす→ ものがある→ 見つける」 この3つの別々のステップが、英語やフランス語よりはっきりしてると思います。だから、「さがす見つける」はかならずしも直結しないのです

山田: 田中さん、ゆびわを失くしちゃったの?ちゃんと さがした

田中: さがしたよ。

会話①には「田中さんがゆびわを見つけた」という意味は含まれていません。「さがす」という過程だけを見ています。


山田: 田中さん、ゆびわを失くしちゃったの?(ゆびわは)見つかった

田中: うん、(ゆびわを)見つけたよ。よくさがしたら、バッグの中にあった。

会話②からは「田中さんがゆびわをさがした後、それを見つけた」ことがわかります。「見つけた」という結果が話されています。

③ この英文を日本語に訳してみてください。I hope you will find a good job.

私の経験上、多くの外国人は次のように訳します: 良い仕事をさがすといいね。

でも、この日本語文はおかしいのです。「仕事をさがす」という過程、例えば履歴書を書いたり、求人情報を読んだりすることは話し手の希望ではなくて、話し手の希望は「良い仕事を手にする」という結果なのです。だから、ここでは自動詞の「見つかる」を使って、次のように言います。「見つかる」の方が「見つける」より自然です。

(あなたに)良い仕事が見つかるといいね。

以上が「さがす、見つける」そして、"look for/chercher, find"に関する私の意見です。私の経験から考えたことなので、もしかしたら正しくないかもしれません。③の英文を外国人が日本語にする時も、「見つける」を知らなくて、似ている単語「さがす」を使うことが、たまたま多かっただけかもしれません。みなさんはどう思いますか?意見を聞かせてください。

2009年8月10日月曜日

「遠慮」とは?

8月ですね。東京では毎週末、花火がどこかで行われています。と言っても、私は一つも見に行っていませんが・・・日本の花火は世界にほこるべき美しい物です。でも、花火会場は大混雑で、それを我慢して、暑いのも我慢して、行く気にはなれないんです。二日前は東京湾の花火大会でしたが、私は家にいて、花火の音だけを聞いていました。先週の神宮スタジアムの花火大会は妹のアパートから見えるので、花火パーティーに招待されましたが、疲れていたので、遠慮しました。

この「遠慮」の意味は何でしょうか?皆さんはわかりますか?今回は「遠慮」が含むニュアンスを見てみましょう。

上の文で「遠慮しました」というのは、つまり、「私は花火パーティーの招待を断った」という意味です。『大辞林』の辞書によると、「事情や状況を考慮して、やめること、辞退すること」という定義(1)があります。「その時の私の事情、疲れていたとか、夜遅くなってしまう、ということを考えて、行くことをやめた」という訳です。

電車やバス内には「携帯電話の使用をご遠慮ください」という注意書きがありますね。これは、「まわりの人への迷惑を考えて、携帯を使うことをやめてください」ということです。公共の場所での「たばこを遠慮してください」などというのも同じ意味です。

また、「他人に対して、言動をひかえめにすること」という定義(2)もあります。例えば、初めて友だちや恋人の家に行って、その親に会った場合、だれでも(少しは)緊張しますよね?そんな時、食べ物や飲み物を出されても、おいしからといって、どんどん食べないですよね?相手の様子を見たり、食べてもいいかなあ?と考えたりしながら、少しずついただきますね?そんな気持ちが「遠慮」です。

あなたがそんな気持ちになると、友だち/恋人のお母さんは「遠慮しないで、食べてね」と言うでしょう。「ひかえめにならないでくださいね」という意味です。

そしたら、あなたは「遠慮なく、いただきます」と言ったらいいですね。

(1)と(2)の定義を合わせると、「遠慮してください」と言う場合には、「やめてください」という強い言い方ではなくて、「まわりの状況や人の気持ちを考えて、遠慮する気持ちを持ってください」というソフトな言い方になっていると思います。意味は「禁止」なのですが、日本人らしく遠まわしに注意しているのでしょう。

そして、他の人からの招待や申し出を断る時に使う「遠慮させてください」という表現も、(1)と(2)を合わせると、「行けません」とか「できません」とはっきり言うのではなくて、「断わるのは申し訳ありません」という気持ちを含むことができます。

では、最後におもしろい表現を紹介しましょう。―「遠慮のかたまり
聞いたことがありますか?例えば、友だちと鶏のからあげをシェアして、食べている時、からあげが一つだけお皿の上に残ったことはありませんか?こんな場合に、最後の一つを食べようか、どうしようか、考えたことがありませんか?「おいしいから、もう一つ食べたいけど、最後の一つだから、私が食べてしまったら、友だちに悪いかな?友だちも最後の一つを食べたいかな?だから、食べるのをやめよう。」こういう気持ちがあって、一つだけ残っている物が「遠慮のかたまり」なのです。


こうやって見てみると、「遠慮」の使い方には日本人的な心情がよく表れていると思います。ただ、この「遠慮」の気持ちは万国共通ですよね?あなたの国の言語では「遠慮」をどのように表現しますか?

2009年7月19日日曜日

2009年 夏

暑中お見舞い申し上げます。
東京は先週梅雨が明けて、毎日暑い日が続いています。暑さが苦手の私は疲れています。日本に住んでいる方や、日本に来たことがある方は知っていると思いますが、日本の夏はすごく蒸し暑くて、体が重くなってしまいます。でも、夏には夏休みや海、花火、盆踊り、スイカなど、夏らしいものがたくさんあって、楽しい季節ですね。

ところで、昨夜おもしろいテレビを偶然見つけました。NHK教育テレビ(関東では3チャンネル)の『シャキーン』という番組です。子供向け番組ですが、大人も楽しめる内容です。毎朝7:00~7:15に放送しています。再放送は水曜日19:25~19:45と、日曜日0:25~0:45です。
番組全部はおもしろいのですが、特に「まわりくどいTV」というコーナーが楽しかったです。日本語の勉強にもなります。

「まわりくどい」の意味は「直接的でなくて、遠まわしで、わずらわしい」こと。つまり、「物事をはっきり言わないで、あいまいな表現を使うので、理解するのがめんどうくさい」ということです。ですから、「まわりくどいTV」では、ある外国人男性(日本語が上手)がすごくまわりくどい文章を日本語で話して、聞き手の日本人が何を意味するかを考える。そして、別の日本人がそのまわりくどい文章を簡単な言葉で言い換える。例えば、昨夜の例はちょっと忘れてしまいましたが、次のようなものでした。
  • まわりくどい文章: 私と同じ親から生まれた年下の女性が 同じ母親から同時に生まれた二人の子を 連れて来ました。

  • 簡単な文章: 私の妹が 双子を 連れて来ました。

では、これはどうですか?私が作った文です。

  1. この夏、エンジンを使って空を飛ぶ乗り物で 自分の国ではない他の国へ 見物や保養をしに行ってきます

  2. 夏の夜、木綿で作った着物を着て、火薬を固めた物に火をつけて、破裂させ、音や光を楽しむものに行きます。

  3. 6月頃に降り続く長雨が終わってから 8月8日頃までに 友人や知り合いに手紙を出して、元気がどうかたずねます。これは日本では 昔から行われていて、そうすることが決まりの様になっていることの一つです。

みなさんも夏に色々な予定があると思います。どうぞ楽しんでくださいね。でも、海や山での事故も多いですから、くれぐれも気をつけて!


2009年6月18日木曜日

雨と水

日本は今、梅雨(つゆ)の季節です。今週は夜ににわか雨が降ることが多くて、月曜日と火曜日の夜は帰宅時どしゃ降りの雨の中をあるいて、びしょ濡れになってしまいました。今日は小雨が降ったり、やんだりしています。

初夏と夏の間に「梅雨」という雨の季節があるし、「秋の長雨」という時期もあって、日本は雨の多い国ですね。ですから、日本語にも「雨」を表す単語や表現が多くあります。上記のほかにも、夕立ち(ゆうだち)霧雨(きりさめ)雨模様雨男/雨女などなど。

雨は「空から降ってくる水」ですから、今日は「水」に関連する事を書こうと思います。
まず、「水」とは冷たいものです。これは今日のテーマの基本です。そして「温かい水」や「熱い水」という表現はありません。水が温かく/熱くなると、それは「お湯」になります。ちなみに、水が凍ると、「氷」になります。

次に、「やかんに水を入れて、火をつけて、??をわかす」と言うでしょうか?「わかす」とは「水を熱くすること」なのに、日本語では「水をわかす」とは言いません。「お湯をわかす」と言うのです。

これに対して、ある本(*1)で、英語では次のように言えると書いてあります。
The kettle was not quite boiling when Miss Somers poured the water on to the tea, ........ Miss Griffith, the efficient head typist, ......said sharply : "Water not boiling again, Somers!"                   Agatha Christie, "A Pocket Full of Rye"

それでは、次に下の例文を見てください。どれが正しいでしょうか?

  1. 水を 冷やす。(ひやす)

  2. 水を 冷ます。(さます)

  3. お湯を 冷やす。

  4. お湯を 冷ます。

正しい答えは1と4です。「冷やす」とは「冷たい物をもっと冷たくすること」で、「冷ます」とは「冷たくないものを冷たくすること」です。例えば、

  • このビールはあまり冷たくないから、もっと冷やそう。

  • このお茶は熱くて、飲めないから、ちょっと冷まそう。

また、「冷やす(ひやす)」と「冷ます(さます)」は他動詞ですが、「冷える(ひえる)」と「冷める(さめる)」は自動詞です。

最後に、雨の話に戻ると、日本の歌には「雨の歌」が多いそうです。雨が恋に泣く人の涙と結びつくのでしょう。そして、その背景に日本的なものがあるという説明を読みました。(*2)

日本でお米を作る過程の田植えは長雨の時に行われる。昔の日本人は田の神様を迎えるこの時期に、恋愛生活を中止する習慣があった。恋人たちは会いたくても会えない時期を雨と共に過ごしたので、その記憶が日本人の心に残って、「雨」と聞くと、せつない気持ちになるのだろう、という訳です。

興味深いですね。日本の歌を聞く方は、そんな日本人の心理状況を想像しながら、今度聞いてみてください。

*1) 『ことばと文化』、鈴木孝夫、岩波新書、1973年

*2) 『天声人語 自然編』、辰濃和男、朝日新聞社、1988年

2009年6月9日火曜日

"win"を訳すと?

みなさんはスポーツが好きですか?たいていの人は好きですよね。そして、何か運動をしていますよね。でも、私は運動が大嫌いで、何もしていませんし、プロ・スポーツの試合にもほとんど興味がありません。だけど、唯一興味があるのが日本のサッカー。しかも、Jリーグ(日本国内のプロ・サッカーリーグ)ではなくて、日本代表チームだけです。
先週末、そのサッカー日本代表がウズベキスタンに勝って、2010年南アフリカ・ワールドカップに出場できることになりました!私の南アフリカ行きも実現するかもしれません。

さて、今日は「勝つ」と "win"は かならずしも同じじゃないことを説明しようと思います。
  The Japan team won that match.
  日本チームが あの試合に 勝ちました。
  
  The Japan team won against the Uzbekistan team.
  (Japan beat Uzbekistan.)
  日本チームは ウズベキスタンチームに 勝ちました。
  
  The Uzbekistan team lost to the Japan team.
  ウズベキスタンチームは 日本チームに 負けました。
  
  Japan will win the world cup.
  日本は ワールドカップで 優勝するでしょう。 
  *「勝つ」を使いません。また、「優勝する」とは「一位になる」ことです。
  (もちろん、日本がワールドカップで優勝するのは無理ですよ。)
  
  Japan will win second prize.
  日本は 二等賞を とるかもしれません。(二位に なる)

また、5月末に私は初めて競馬に行きました。思ったよりずっと、競馬は楽しかったです。競馬の後で、みんなの質問は
  Did you win?
  (競馬に)勝ちましたか?
  
  My friend won about 20,000 yen at his first race.
  友だちは 最初のレースで 20,000円ぐらい もうけました
  
  I had a loss of 5,000 yen.
  私は 5,000円 損をしました。

スポーツの試合に勝つためには、努力が必要です。競馬では実際に競争するのは馬ですが、馬券を買う人たちも馬の情報を集めたり、研究したりなど、少し努力が必要ですね。努力した後の結果にはゲームに「勝つ」(beat) や「負ける」(be defeated) というコンセプトが生まれるのでしょう。

でも、ただ運まかせの宝くじや、くじ引きなどでは「偶然に/幸運に何かがもらえる」という感じで、「勝つ」 「負ける」は使われません。
  
  I hope I will win the lottery.
  宝くじに 当たると いいな。 *「~に当たる」は自動詞
  
  Someone won 10,000,000 yen in the lottery.
  だれかが 宝くじで 1千万円を 当てた。 *「~を当てる」は他動詞

このように見てみると、「勝つ」と「win」はいつも直訳できる訳ではないと分かりますね。そして、"win"が 便利な動詞だとよくわかりますね。

2009年5月8日金曜日

漢字解説 - 間

突然ですが、今日は短歌を紹介しましょう。短歌とは和歌、つまり日本の詩です。

八重葎 茂れる宿は 人もなし まばらに月の 影ぞすみける

(やえむぐら しげれるやどは ひともなし まばらにつきの かげぞすみける)

簡単に説明すると、「草が茂って、荒れた家には人がいない。すき間のある屋根からもれる 月の光が澄んでいるだけだ」という さびしい情景をうたっています。(*1)


「すき間」という単語の「」が今日のテーマです。「間」の意味は「物と物、人と人、所と所などにはさまれた部分」、または、「ある時から別の時までの長さ」、「二つのものの関係」などですね。

漢字「間」を分解すると、「門」+「日」になりますが、新選漢和辞典(*2)によると、元は「門」+「月」で、「門のあいだから月光がさしてくること」を意味していたそうです。上の短歌の情景と似ていませんか?

次に、「間」の発音を見てみましょう。音読みは「カンケン」で、訓読みは「あいだ」です。

    カン:時間、空間、期間、中間、週間 など

    ケン:眉間(ミケン)、世間(セケン)

    ゲン:人間 (多分、これだけ)

    :居間、昼間、客間、晴間、手間 など

発音が多いですが、発音の基本的な規則性は「もう一つの漢字との組み合わせ」から見えてきます。「音読み+音読み」、「訓読み+訓読み」です。

「間」の場合は、「他の漢字の音読み+カン」と、「他の漢字の訓読み+」が基本のルールです。例えば、の例の「昼間」は訓読み+訓読みの「ひる+」で、意味は文字通り「ひるのあいだ」です。これに対して、「夜間」というのは「よるのあいだ」という意味ですが、発音は音読み+音読みの「ヤ+カン」です。つまり、発音は漢字の意味によるという訳ではありません。

そして、カンが少し変化したものが、ケンゲンです。でも、「音読み+音読み」の規則にはしたがっています。

もちろん、基本的ルールの例外もあります。の例の「客間」(お客さん用の部屋)は「客」の音読み「キャク」+「」になっています。ただし、「客」には音読みしかありませんし、「間」が「部屋」の意味の場合は「」と発音するので、「音読み+訓読み」の組み合わせになったのでしょう。「部屋」を意味する「間」の他の例は、居間、日本間、洋間などがあります。例外はかなり複雑ですね。

「漢字はおもしろい」という外国人の声をよく聞きますが、それぞれの漢字の音読み・訓読みを覚えるのはとても大変なことです。気を長く持って、がんばってくださいね。

ところで、今日は良いニュースがありましたよ。みなさんの日本語の勉強のはげみになるニュースです。日本に10年間住んでいるイラン人女性が日本語で小説を書き、文学界新人賞をとりました。すごいですね。

(*1)『花にもの思う春』、白州正子、平凡社、1997年

(*2)「新選漢和辞典-第七版』、小林信明編、小学館、2003年

2009年4月20日月曜日

高知旅行

4月10日から12日まで四国の高知県に行って来ました。自然がすごくきれいで、田舎の町は静かで、食文化が豊かで、本当に良い所でした。もちろん、海外旅行も大好きですが、最近は国内旅行の良さを再発見しています。自然や歴史的なものが楽しめて、気軽に気分転換ができるし、忘れ物をした!とあせることもないし、言葉の問題もない。ラクですね。

高知の人たちが話す方言を聞きましたが、意味は通じました。関東人の私にとっては、高知弁と関西弁、または九州弁との違いははっきりしませんでしたが。
でも、ひとつだけ、どうしてもわからない表現に出会いました。それは町の中や居酒屋で見たキリンビールの看板に書いてありました。

  たっすいがはいかん。(全部ひらがなで書いてある)

この意味は何でしょう??旅行に一緒に行った妹と私が分かるのは、「いかん」が「いけない」ということだけ。私たちの会話は以下のようでした。

  飲みすぎたらいけないよ、かな?

  真ん中の「は」は ha かな?wa かな?

  「すい」の漢字は「酔」(よう- get drunk)かな?

  どれが一つの単語だろう?たっす?たっすい?たっすいが?

結局、高知の人に聞きそびれてしまい、意味を発見できないまま、東京に帰って来ました。家でインターネットで調べたところ、「たっすい」は「ひ弱な、頼りがいがない」という意味があるそう。なので、「たっすいビール」とは「味のうすいビール」で、「そんなビールを飲んではだめ、KIRINのキレのある、パンチのあるビールをごくごく飲もう!」という広告文だそうです。ちなみに、この広告のおかげか、KIRINビールの売り上げ高は高知県が日本一です.

もう一つ、気が付いたカワイイ方言がありました。あるお店の植物にはってあった紙に書いてありました。

  花に水をあげなでね。

これは、すぐに意味がわかりますね。「花に水をあげないでくださいね」と同じです。教科書で習う「ない形+でください」はここでは使われません。
ということは、教科書の文法は方言では通用しないことが多いのです。地方に住んで、日本語を話している外国人は東京の外国人よりきびしい環境で日本語を勉強しているのですね。感心しますよ。







2009年3月31日火曜日

日本の花・桜 sakura

桜の季節です。桜は日本人が大好きな花。もちろん私も。どうして日本人にとって、桜がこんなに特別か考えてみると、みんなそれぞれ、桜に関する思い出があるからではないでしょうか?日本の学校の庭には必ず桜の木が植えてあるはずですから、桜を見ると、子ども時代の思い出と結びついて、なつかしい気持ちになります。そういう気持ちが一人一人にあるのだと思います。

桜が満開になった後は、残念ですが、桜は散ってしまいます。風に舞って、空中をひらひら散っていく桜も美しいですね。この「散る」という単語、「物や人が分かれて、広がる」という意味があります。日本語では「桜(花)が落ちる-"fall"」とは言いません。「花が落ちる」のイメージは花が丸ごとボトッと下に落ちる(↓)感じで、美しくありません。桜は美しい花ですから、趣(おもむき)がある詩的な表現を使うべきですね。
他の例では、集中できない状態を「気が散る」と言います。

また、"fall"に関して日本語と英語はちがうな~と感じるものは "A tooth fall out." これは「歯が落ちる」とは言いません。「歯が抜ける」です。「抜ける」は「中にあるものが外に出る」という意味があります。例えば、すごくショックなことがあった時には「力が抜けてしまいます」。

他にも、"Rain/ Snow falls."は 「雨/雪が降る」ですね。「降る」は「空/上から物が落ちて来る」という意味です。雨と雪以外に空から降ってくる物があると思いますか?村上春樹(むらかみ はるき)の小説『海辺のカフカ』では、「東京のある町に2000匹の魚が降って来る」という話があります。

では、また桜の話に戻りましょう。桜の花を見ることを「花見」と言いますね。この花見の歴史はとても古くて、平安(へいあん)時代(794~1192年)に貴族の間で行われていたそうです。庶民に広まったのは江戸(えど)時代(1603~1867年)で、将軍が指示をして、江戸のいろいろな所に桜をたくさん植えて、花見の名所を作ったそうです。当時、花見情報を書いたガイドブックもあったと聞いたことがあります。

それから、花見の用語も少し紹介しましょう。
暖かくて、晴れの日は花見日和(はなみびより)です。朝から場所取りをしましょう。そうしないと、桜が見えない場所やごみ箱のそばでお花見をすることになってしまいます。そして、夜の桜、夜桜(よざくら)を見ながら、花見酒(はなみざけ)を飲む。これが一般的なお花見です。

東京では今週末、桜が満開になりそうですね。みなさん、楽しんでください。



2009年3月15日日曜日

矢印が見える?

昨日は3月14日、ホワイトデー、今日は3月15日、3月の真ん中で、東京はすっかり暖かくなりました。3月25日には桜が咲く予定、つまり「桜の開花予想日」も間もなくです。桜の開花予想はこの時期に天気予報で発表されます。
温暖前線、寒冷前線という天気の前線は世界どこでもあるでしょうが、日本には桜の開花が南から北に移動していくペースを表示する「桜前線」もあります。桜は本当に日本では特別なモノですね。


さて、今日は以前に質問があった「かける」について書きます。この動詞にはたくさんの意味がありますね。と言うより、多すぎます。例えば、

  • 友だちに電話をかける (call)
  • 絵を壁にかける (hang)
  • ドアのかぎをかける (lock)
  • お金をかけて、ゲームをした (bet)
  • とうふにしょうゆをかける (pour)
  • 家までかけて、帰った (run)
  • 2 かける 3は 6 (multiply) などなど・・・

でも、今日は一つの意味だけに注目しましょう。まず、次の文を比べてみてください。

  1. 私は 旅行のことを 友だち 話した。
  2. 私は 旅行のことを 友だち 話した。


何か、違いを感じますか?1の「」は動作の方向性を表しているので、「私→友だち」、一方通行に話している絵が見えます。2の「」は対等の立場を表しているので、「私→友だち」と「友だち→私」お互いに話している絵が見えます。 ある本(*1)に良い例があげられています。

  1. 僕は 彼女 キスをした。
  2. 僕は 彼女 キスをした。


1は「僕が彼女に近づいていく様子」、2は「二人がお互いに近づいていく様子」が目にうかびます。
「電話をかける」の「かける」には、この「」と同じ役割があると思います。「相手に向かって、なにかをする」 次の例も同じ意味ですね。「私→彼」の絵が見えますか?

  • 私は 彼に 声を かけた
  • 私は 彼に めいわくを かけてしまった。
  • 私は 彼に 大きな期待を かけた


それから、「動詞+かける」の例には「話しかける」や「笑いかける」などがあります。これらも「ある人から相手に向かう動作の方向性」が表わされています。しかし、どの動詞にでも使える訳ではなくて、使える動詞は限られています。例えば

  • 通りで友だちを見たので、私は 彼女に 呼びかけた
  • 私が 彼に 問いかけると、彼は 答えてくれた。
  • 私は みんなに 真剣に 語りかけた
  • 犬が逃げてしまったので、私は 犬を 追いかけた
  • 私は 友だちに 相談を 持ちかけた
  • この会社の協力を得るために、私は 彼らに 働きかけている


さらに、「私は友だち話した」と「私は友だちに話しかけた」の違いは、「話しかける」は「相手の名前を呼んで、会話をスタートさせる最初の行為」です。例えば、「山田さん、元気?」と言って、話し始めることは「話しかける」です。その後、何かについて友だちに話す、または話しつづける。

また、「話しかけて来る」なら、「他の人の行為が私に向って来ること」を表しているから、「他の人→私」の絵になります。

  • 急に 彼は 私に 話しかけて来た
  • 急に 私は 彼に 話しかけられた。(受け身形)

上の二つの文は同じ状況を表しています。あ~、どんどん複雑になりますが、とにかく「かける」の方向性、つまり、矢印(→)の向きがわかれば、良いのではないでしょうか?まだ、質問があれば、ぜひ聞かせてください。

(*1)『問題な日本語』、北原保雄編、大修館書店、2004

2009年2月23日月曜日

日本の子どもと漢字

「日本人の子どもはどうやって漢字を覚えるんですか?」

この質問を今まで何回聞かれたでしょうか?日本語を勉強する外国人みんなが考える質問ですね。

私の記憶では、毎日漢字ドリルをやったり、小さいテストや大きいテストを国語の授業でやったりしていました。今の子どもたちも同じようにドリルやテストをやっています。私のいとこの息子は今、8才(小学校2年生)。昨日、彼と宿題の漢字ドリルを一緒にしました。今、彼が習っている漢字は「話」「聞」「頭」「首」など。基本の漢字ですね。

それから、彼と彼の同い年の友だち4~5人でアメリカのアニメ映画を見ていました。音は英語でしたが、日本語の字幕がついていました。この子どもたちはまだ英語はわからないから、みんな日本語字幕を読まないといけません。字幕には2年生までに習わない漢字もたくさん出てくるので、私が「みんな、字幕の漢字読めるの?」と聞くと、彼らは字幕を声に出して読んでくれました。全部、読める!

その時、私はある事に気がつきました。彼らは知らない漢字が読めるのではなく、映画の中の会話の流れから意味が推測できるんです。例えば、

  恥ずかしい

この漢字は2年生は知らないはず。でも、後ろのひらがな「ずかしい」が読めるので、多分この単語は「むずかしい」か「はずかしい」になるだろうと一瞬の内に推測できます。

そして、映画の話の流れも考えると、これは「はずかしい」だ!とわかるという訳です。

また、私の母も面白いことを話していました。私が小学校1年生(7才)のころの事です。私の名前は「おかもと」です。近所には「おかだ」と「おかべ」という家族がいました。それぞれの家の前には表札があります。

  本、 田、 

この漢字の中で、「本」と「田」は学校ですぐに習う漢字ですから、一年生でも読めますね。そして、私はそれぞれの家族の名前は聞いて、知っていますから、最初の漢字「」が「おか」と読むことに気がついて、それを母に指摘したそうです。

こうやって、子どもたちは教科書やドリルで漢字を習う前に、自分たちで規則性を見つけたり、会話能力から読むこともできるようになったりするんですね。

ところで、最後に漢字に関するクイズを出しましょう。

  • アメリカ人のトムが東京で旅行中に迷ってしまいました。 トムは漢字が読めません。トムは日本人の山田さんに電話をして、今どこにいるか、説明しています。 「スリー ボックス スリー ラインと 書いてある駅にいます。 迎えに来てもらえますか?」  山田さんはどこの駅に迎えにいけばいいでしょうか? (東京の地図がわかる人にとっては、簡単ですね!)

  • 次の漢字を組み合わせて,2つの漢字の単語を完成させてください。(例えば、)  

     +  +  +  +  +  

答えがわかったら、教えてくださいね!


2009年2月7日土曜日

日本語の"I"

先日 韓国人の友人からおもしろい話を聞きました。

まず、韓国と日本のことを少し話すと、この二つの国は似ているようで、違うよう。親近感があるようで、歴史の問題のせいで反発感もある。習慣や考え方を比べると、すんなり受け入れられる事と、びっくりしてしまう事があるんです。

日本のことを知っている西洋の方たちは、「日本は礼儀作法が厳しい」「日本では上下関係(年上の人と年下の人の間の関係)が大切なんだ」「仕事の時はいつも敬語を使わなくちゃ」とか、日本で気をつけなければならない事がたくさんあると思っていますね。

でも、私は韓国のそういう話を聞く度に、びっくりしてしまいます。韓国は日本以上に人間関係のマナーが厳しいんです。例えば、上司や先輩にお酒をすすめられたら、断わってはいけない。必ず飲まなければならない。さらに、目上の人の前でお酒を飲む場合は、目上の人に飲んでいる姿を見せないように、体の向きを変えて飲む!!

また、「友だち」という言葉の定義は「同じ年齢で気の合う人」であって、年上や年下の人と仲良くなっても、その関係を「友だち」と呼ばないそうです!それは「先輩」または「後輩」でしかないそうです。

日本でこういう事はないでしょう。

ところで、私の韓国人の友人(私たちは同じ年ですから、友だちです)は日本に来る前に、韓国で日本語を勉強しました。そこで先生に「日本で、大人の男性は【僕】を使ってはいけない。【私】を使うべきだ」と教えられたそうです。

ですから、彼は日本に来て、会社で【私】を使って話しました。それなのに、日本人の同僚はみんな、【僕】を使っている。その時、彼は「自分が韓国人だから、日本人たちは自分に対して、ていねいではない、失礼なんだ。これは人種差別だ!」と感じたそうです。

しかし、しばらくたって、彼はその日本人の同僚から、「どうして【私】を使うの?【私】はかたすぎる。【僕】を使った方がいいよ。」と言われて、日本人の【僕】の使い方を習いました。
仕事場でも毎日一緒に働いている同僚と話す場合は、【僕】を使って、カジュアルに話すのが普通ですね。会議、またはお客さんや初対面の人と話す場合は、【私】と言った方がいいでしょう。【僕】を使ってしまっても、大きな問題ではないし、動詞で敬語を使えば、文全体がていねいな感じになるので、大丈夫です。

友だちと話す時に、【私】を使う男性はいないでしょう。相手が年上でも仕事の外の人なら、【僕】を使っても問題ありません。

もう一つおもしろい話は、この友人は日本人からは「【僕】を使った方がいい。」と言われたのに、外国人の友だちからは 「どうして、あなたは【私】を使わないんですか?それは良くないよ。」と言われるそうです。外国人の方が日本人より「ていねいであること」に気をつかっているようですね?
失礼な態度をとらないようにすることは大切ですが、ていねい過ぎるのも変な感じになってしまいます。そのバランスをとりながら、日本語が話せれば、自然な日本語になるのだと思います。

ここで、【僕】に関する歴史(*1)を紹介します。【僕】は江戸時代には主に漢文(漢字だけで書かれた文章)の中で使われていた書き言葉でした。意味は「あなたの僕(しもべ)」、つまり、「めし使い」です。この時、【僕】は自分を「めし使い」と呼ぶためのけんじょう語だったんですね。それが今では、話し言葉になり、目上の人に対してや、フォーマルな場合に使わない方が良いことになっています。
また、1952年に国語に関する会議があり、そこで「【僕】は男子学生の言葉であるが、社会人となったら、【私】を使うように教育上、注意すること」と文部大臣(the minister of education)に意見が提出されました。このことから、【僕】が【私】より「ていねいではない」と見なされていたことがわかりますね。でも、今は【僕】は「ていねいではない」と思う日本人は少ないのではないでしょうか? 親しみが感じられる言葉だと思います。

個人的に、私は【僕】は好きですが、【俺(おれ)】はあまり好きじゃないです。ちなみに、【お前】は大嫌いですね。

(*1)『ことばと文化』、鈴木孝夫、岩波新書、1973年

2009年1月20日火曜日

冬の食べ物

この写真は「おぞう煮」。お正月に食べる料理で、おもちが入っているスープです。私の大好物です。寒い季節に食べたいものはやっぱり「煮込み料理」!「煮込み料理」とは野菜や肉をたっぷりの煮汁の中で、時間をかけて、煮た料理」のことです。
日本料理なら、鍋をはじめ、煮込みうどん、豚の角煮などなど、色々なものがありますね。鍋の中にも種類は多くて、和風だしの鍋、とうがらしを入れた韓国風鍋、豆乳鍋などをこの冬、食べています。また、フランス語の先生のお宅ではフランスの煮込み料理、ビーフ・ブルギニオン(beef bourguignon)をいただきました。

今日はこの「煮込む」の「込む」という動詞について考えてみましょう。これは「煮る」+「込む」の二つの動詞が組み合わさっています。「込む」は漢字に「入」が含まれているように、「中に入る/入れる」の意味があります。次の例を見てみましょう。 (グループ1)


彼はプールに飛び込んだ (プールの中深くに 飛んで、入る。)


嫌いな食べ物をかまないで、飲み込んだ (食べ物をのどの奥深くに入れて、腹の中まで送り込む。)


他には、雪が部屋の中に吹き込む、電車に乗り込む、どろぼうは裏口から入り込んだ



でも、「煮込む」は野菜や肉をスープの中に入れることを表していません。この「込む」は「最初の動詞の行動を時間をかけて、ゆっくり行う」ことを表しています。(グループ2)つまり、「煮込む」は「材料をスープの中で2~3時間煮る」ということです。

久しぶりに友だちと会って、話し込んだ。 (時間がたつのを忘れて、話に夢中になる。)


この問題について、考え込んでしまった。(長い時間、真剣に考える。)


知らない内にソファでぐっすり寝込んだ (深く、よく眠る。)



次にグループ3は「同じ状態をそのまま続ける」ことを表しています。例えば、

私は疲れて、駅で座り込んだ (その場に座ったまま、動かない。)


彼は怒ると、いつも黙り込む (何も言わないままでいる。)


かぜで一週間、寝込んだ (病気の状態が続いて、寝たままでいる。)

3つのパターンがわかったでしょうか?まとめると、
  1. 中に入れる/入る、だれが見てもこの様子はわかる。

  2. 時間をかけて、ゆっくり行う、話し手の主観的な気持ちが表わされる。

  3. 同じ状態を続ける、だれが見てもこの様子はわかる。

最後に、駅と電車でよくある注意を紹介します。どういう状態かわかりますか?

駅のアナウンス: 危ないので、かけ込み乗車は おやめください。

電車のドアの注意書き: 戸ぶくろに 手を引き込まれないように 気をつけてください。

2009年1月4日日曜日

happy new year

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

良いお正月でしたか?私の年末~お正月は家族と友達とたくさん食べて、たくさん飲んで、楽しく過ごしました。

「よろしくお願いします」、この意味は何ですか?とよく聞かれます。日本では本当によく使われる表現ですが、意外と意味や使い方を知っているようで、知らない。


1)はじめまして。山田と申します。よろしくお願いします

よくある自己紹介のあいさつです。この場合は、「これからあなたに手伝ってもらったり、お世話になったりするだろうから、今 前もって、あなたの好意に感謝しておきます。」ということ。
「あけましておめでとう、今年もよろしく」も同じ意味ですね。


2)明日までに 返事をください。よろしくお願いします

友達や仕事の人などにあるリクエストをする場合も、「私はあなたにお願いをするので、今 ここで、あなたの好意に感謝しておきます。」ということです。



3)しばらく、こちらで道路工事を行います。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします

謝らなくてはいけない場合は、「あなたの理解と協力に感謝します。」という意味です。


全ての場合で、「よろしくお願いします」を通して、相手の手助けや協力に対して感謝しながら、それだけではなくて、「相手の好意を引き出そう、そして、手伝ってもらおう、協力してもらおう」という意図も含まれていると思います。こんなことを全部口に出さなくても、「よろしくお願いします」のひと言で済むのですから、便利な表現ですね。

ただ、「よろしくお願いします」は未来の好意に対して、使うだけで、過去に行われた好意には使いません。過去の場合は、「ありがとうございました」でいいですね。

では、最後に、今年も日本語の学習や研究をがんばりましょうね。質問やコメントがあれば、ドシドシ送ってください。このブログを通して、色々な方たちと知り合えるのが楽しみです。2009年もよろしくお願いします!!