2016年2月2日火曜日

「~にくい」は やっぱり難しい

お正月までは暖冬だったのに、このところはずっと寒い日が続いていますね。東京を含む首都圏の典型的な冬の天気は寒くても、青空の「冬晴れ」です。昼間は太陽の光で暖かさを感じますが、日が暮れると寒くなりますね。外国人は日本人より薄着の人が多いので、「寒くないのかな~」といつも疑問に感じていますが、体が大きいからか、寒さに慣れているからか、大丈夫なんでしょうね。

さて、みなさんは今までに「日本語は話しにくい」とか、「日本語は読みにくい」とか言ったことがありませんか?これを聞くたびに、私は何かがおかしいと感じています。他の場面でも「~にくい」の使い方には間違いが多いです。その理由は単純です。
「~にくい」= "difficult to do" とのみ覚えているからです。
でも、それだけでは足りません。もう一つの条件が必要になるんですよ。それは何でしょうか?

例えば、蟹(かに)ってどんな食べ物でしょうか?味はいいけど、殻を割ったり、外したりしなければいけないので、面倒臭い食べ物ですよね。
 蟹はおいしいけど、食べにくい
次の例は、もうお腹がいっぱいなのに、どんどん食べ物が出て来て、全部食べることができない場合です。
 お腹がいっぱいだから、全部食べるのは難しい
Aは蟹の形や殻のせいで、食べるのが難しい。蟹の特徴に問題があります
Bは食べ物自体に問題はありません。お腹がいっぱいで、食べられないのは能力、他の言い方をすれば許容範囲の問題です。

もう一組の例をあげます。
日本人はワインや日本酒を一口飲んだ時に感想として、よくこう言います。
 このワインは飲みやすいね。
これは「このワインの味や香りが良いので、おいしく飲める」という意味で、ワイン自体の性質のおかげです。

一方、1本のワインを1人で飲むことはできないけれど、2人ならできる場合、
 2人ならワインを1本飲むことは簡単です
これはワイン自体の質には関係なく、能力や許容範囲の問題です。

つまり、Aの「~にくい」を使う場合は、その物の性質や特徴のせいで、「~するのが難しい」ということで、「~やすい」はその物の性質や特徴のおかげで、「~するのが簡単」ということになりますね。

一方、Bの「~するのは難しい/簡単」話し手などの人が、その行動をする能力や技術がない/あるという意味になります。また、能力や技術の有無だけではなく、外的要因に影響されることもあります

では、次にもう一つのポイントから見てみましょう。
ワインを飲んでいる時にワインをテーブルクロスにこぼしてしまいました。
 ワインのしみは 落ちにくい
 ワインのしみを 落とすのは 難しい。 
Bは「話し手にワインのしみを落とす技術や知識がないため、しみが残ってしまいそう」という意味ですね。 それで、「落とす」は話し手の行為ですから、ここで使う動詞は必然的に他動詞、または行動を表す自動詞(例えば、行く、走る、入るなど)になります。
Aの方にこういう限定はありません。

では、最後に上の説明に基づいて、「日本語は話しにくい」と「日本語は読みにくい」について考えてみましょう。私は今までどうしてこの使い方が間違っているのかをうまく教えられなかったのですが、ある結論に到達しました。私の解釈を下に書きます。

日本語は「西洋の言語とは全く違う」、「ひらがな、かたかな、漢字が複雑」という性質があって、確かにそのせいで外国人にとって話すのも、読むのも難しいでしょう。だから、Aが使えるように見えますが、こう考えてみてください!
日本人にとって日本語の性質や特徴は普通のもので、難しいとは感じませんね。日本人が「日本語を話しにくい」と言うことは有り得ません。そこから、言語の難しさは「その性質より、個人の能力や技術によるものだ」と考える傾向があるのかもしれません。
その代わり、「話しにくい」は次のような場合に使われます。
「あの人はいつも怒っていて、こわそうだから、話しにくいな。」 あの人のこわい性格のせいで、声をかけるのが難しいという意味です。 
「話しにくい」にはこういう使い方があるので、言語の難しさには使われない。これが私の意見です。

どうでしょうか?「話しにくい」の使い方に納得できましたか?


2016年1月23日土曜日

日本語教師募集!

今日はお知らせを一つさせてください。

このブログを読んでくださる日本人の方、または外国人読者のお友達へ。
パートタイム日本語教師募集中です。
  1. 経験者
  2. 要英語力
  3. 都心在住
  4. 夜のレッスンができれば、尚良い
興味のある方、もしくはお知り合いがいらっしゃれば、連絡してください。
private.nihongo.lessons@gmail.com

よろしくお願いします。

今日は日本中とても寒くなるそうです。大雪の地方の方は気を付けてください!

2016年1月9日土曜日

more or less

先週から仕事や勉強が始まって、お正月気分が抜けましたか?といっても、日本では今週末が3連休なので、私はまだ休みモードにいる感じです。来週からは本格始動です!

今年初のテーマは "less" について考えてみましょう。 "less" は日本語で何て言うの?と時々聞かれますが、 答えるのは難しいですね。 日本語で "less" はひと言で表せません。これに対して、"more" は比較的簡単で、「方が」「より」という表現や「もっと」を使えば、言いたいことは伝わるでしょう。
英語の "more" と "less" は単純で便利だなあと思います。次の例文を見てください。
  • If you wish to gain your weight, eat more meat.
  • If you wish to lose your weight, eat less meat.
"more" の文は先ほど書いたように「もっと」を使える場合が多いので、こうなります。
あなたが太りたいなら、もっと肉を食べて。
"less"の文はこうなります。
あなたがやせたいなら、食べる肉の量を減らして
 「量」と「減らす」という単語まで出てきて、複雑になりますね。簡単な単語を使って、「肉を少し食べて」と言ってしまうと、言いたいことは伝わりますが、意味が少し変わってしまいますし、自然な日本語ではありません。

「量」について"less"と言いたい場合は、「少ない」を使うといいでしょう。
There were less mosquitoes around this year. 今年は蚊が少なかった
It rains less in London than in Manchester. マンチェスターよりロンドンの方が雨が少ない
You must have paid 3,000 pounds for your car. No, it was less. その車に3,000ポンドを払ったんでしょう?ちがうよ、それより少ないよ。
上の "eat less meat" の文も肉の量について話しているので、「減る」の代わりに「少なくする」を使うことができますが、「少ない」という単語の性質上、「少ない肉を食べる」と言うことはできません。
「少ない」は形容詞ですが、名詞の前に置くことはできませんね。「【名詞】が少ない」という文型をとります。
"less" が「少なくする」とか「減る」という動詞に変わるのがおもしろいですね。もちろん、"more" は「多くする」「増やす」などと言い換えられます。
More and more Japanese are visiting Australia. オーストラリアを訪れる日本人が増えている。(ここでは、「増える」という自動詞を使います。)

しかし、"less tired" "less happy" "less attractive" など形容詞と共に使う程度表現の場合はどうなるでしょうか?
「あまり~ない」「そんなに/それほど~ない」を使うのがいいんじゃないかなと私は思っています。
She found the job less attractive. 彼女はその仕事がそんなに魅力的じゃないと思っている。
She was less happy for being on her own. 彼女はひとりでいることがあまりうれしくない
「今年はもっと勉強しよう、もっと仕事を頑張ろう、もっと運動しよう、もっと貯金しよう」などと新年の抱負を掲げた人がきっといますよね。または、「お酒の量を減らそう、甘い物を減らそう」と決心した人もいるかもしれません。「新年の計は元旦にあり」ということわざがありますが、今からでもまだ遅くありませんよ!


2016年1月3日日曜日

新年あけましておめでとうございます

2016年が始まりましたね。今年はどんな年になるのでしょうか。みなさんの日本語の上達と日々の幸せ、そして争いのない世界を願っています。

みなさんはどんなお正月を過ごしていますか?私のお正月は毎年同じで、母の料理の手伝いを少しだけして、家族とお正月の夕食を楽しむだけですが、毎年同じことをできるのが幸せなのだと思います。
この元旦に朝日新聞で次の短歌を見つけました。

松立てず しめかざりせず 餅つかず かかる家にも 春は来にけり (元政法師・げんせいほうし)

松: 日本の玄関の前に置く松と竹の飾り
しめかざり: これも玄関のドアにかける飾り
餅(もち): お正月の食べ物
かかる: こういう
春: 新春、つまりお正月
来にけり: 来た(完了形)
ず: ない

「一般的に人々がお正月にすることをしなくても、お正月はだれにでも来る」という和歌です。その通りですね。物質的なことではなく、それぞれの心の中で新年の祝いや決意ができればいいと言う訳です。気持ちだけは新たに引き締めて、明日からがんばりたいですね。(今日からではない点がポイント!今日はまだお正月休みですからね~)

みなさん、今年もよろしくお願いします。今年も楽しく日本語を勉強して、生活に役立ててください!

岡本 美奈子 (おかもと みなこ)


2016年 年賀状
 

2015年12月7日月曜日

Learn は「習う」だけじゃない

日曜日にテストを受けたみなさん、お疲れさまでした!テストの結果のことはとりあえず忘れて、今日から楽しいクリスマス気分を味わってください。日本語の勉強も少し休憩しましょう!
それで、今回の内容は簡単なものにしますね。

先月の投稿で英語の "have" は便利な動詞だと書きましたが、私は常日頃 "learn" も便利な動詞で、日本語とはちょっと違うなあと思っています。外国人が"Learn" を「習う」と訳して使うのを聞くたびに、何か違和感があって、日本語との違いを考えました。"Learn" は日本語では「習う」だけではありません。「学ぶ」「学習する」「勉強する」「練習する」などもあります。

90%の割合で「習う」はだれかからレッスンを受けている状態だと思います。つまり、「教えてもらっている」ことです。例えば、「料理を習っている」は料理教室に行っている、またはお母さんから教えてもらっているなどになるでしょう。
I can't drive yet. I'm still learning. :私は運転がまだできないから、習っているところです。 
この日本語の文だと、運転免許がまだなくて、自動車学校で授業を受けているということが想像できます。

でも、免許はあるのに、運転が下手だから自分で練習している場合も、上記のような英文になるのでなはいでしょうか。
同じように、料理学校には行かずに、家で自分で料理を毎日していれば、「料理を勉強している」、または「練習している」と言います。
She learns languages with ease. :彼女は語学を簡単に学べる。(「学ぶ」は「可能形」になっています)
ここでも「習う」は使いません。この文で先生がいるか、どうかは問われていなくて、語学能力の有無について述べているからでしょう。 「学ぶ」と「学習する」には「勉強した結果、そこから何かをきちんと得る」という意味があるようです。勉強や練習をしても、何も覚えてない、または何もできるようになっていなければ、「学んだ」ことにはならないのです。

自分の経験や間違いを通して、将来に役立つ何かを得た場合も「学習する」が使えます。
I'll never ever do that again. I've learned my lesson! :こんなことは二度としない。私は学習したよ!
「何を学習したか?」 それは文脈が必要になります。例えば、前の晩に飲み過ぎて、二日酔いで大変なら、「自分の飲める量を学習した」と言えますね。

それから、情報を通して何かを知った時も英語では "Learn" を使いますが、日本語ではそのまま「知る」を使えばいいと思います。
I am sorry to learn of your illness. :あなたの病気のことを知って、残念です。
「漢字やだれかの名前などを頭の中に入れる」作業には「覚える」を使います。
I am trying to learn a poem by heart. :詩を覚えようとしている。
I never learned his name. :彼の名前が全然覚えられない。(ここも可能形です)
あれ~、こうやって見てみると、「習う」を使う例が少ないですね。やはり単純な直訳ができない動詞です。こういう動詞はまだ他にもあって、「work =働く」も気になっていますので、今度書こうと思います。

では、皆さん、よい年末年始をお迎えください。そのためには風邪など病気にかからないように、気を付けることも大事ですよ。(ちなみに、私は手洗い、うがいは欠かしません。それと、電車内などで多くの人が触る所を触るのも避けた方がいいと思いますよ!)


2015年11月16日月曜日

旅に出る人へ Have a nice trip

English translation

この週末はパリで大変悲しく、ひどい事件がありましたね。犠牲者の方々の冥福をお祈りします。
同じ事件が二度と起きないことと、この悲劇が次の悲劇を生まないことを願うばかりです。

みなさんもご存知のとおり、パリは人種のるつぼの町です。そこには多くの問題や歪みがありますが、同時にその多様性が町の魅力にもなっています。特に人種や文化の単一的な日本に住んでいる私からみると、その多様性に富んだ町は特別です。
宗教とテロリズムは別物です。憎しみと暴力の負の連鎖が止みますように。皆がただ幸せに暮らせる社会になりますように。(今は不可能な希望にしか見えませんが。。。)



では、日本語の話を始めましょう。
Have a good day, Have a good weekend, Have fun など、"have" を使った英語の表現はいくつでもあります。というか、いくつでも作れますね。でも、日本語には "have" のような便利な動詞がありません。(以前の投稿「Have a good weekend」に書きましたが)
そういう訳で、Have a nice trip と Have a nice flight も直訳することはできません。直訳はしなくても、旅に出る人に向ける日本語の表現はあります。
Have a nice trip. :旅行を楽しんで来てね。
Have a nice/safe flight. :気を付けて、行って来てね。 
こんな風になるでしょうか。日本語特有のおもしろい点は「来てね」が最後に付いていること。この「来る」は「私たちが今いる所に戻る」という意味ですね。「旅行に行くけど、必ずここに戻ってください」というメッセージが含まれています。
旅行を楽しんで来てね。: Enjoy your trip and make sure to come back.
気を付けて、行って来てね。: Take care and make sure to come back.
そう言えば、子どもの時学校の遠足の度に、先生たちに「家に帰るまでが遠足ですよ。」と言われたことを思い出しました。目的地に着くことが遠足の終わりじゃない、目的地から学校に戻ってもまだ終わりじゃない、学校から帰宅するまで遠足は続いているのだから、最後まで注意して行動してくださいと先生たちは言っていました。

次に、辞書によると、"flight" は「便」(びん)ですが、「いい便」とか「安全な便」、「私の便」という使い方はしません。ただし、次のような使い方はできます。

  • 直行便
  • 朝/昼/夜の便
  • 100便
  • 行きの/帰りの便

"My flight is late." と言いたい場合、「私の飛行機/フライトは遅れている。」となるでしょう。

それから、旅行や外出に関連する表現で "I am on my way." と英語で言いますね。これを直訳して「(私は)途中です。」というのも間違いです。正しくはこうです。
I am on my way (to school). : (学校へ)行く途中です。/(学校へ)向かう途中です。
「途中」は「出発地から目的地までの間」を表すだけでなく、「何かを始めてから終わるまでの間」も表します。次のような言い方もできます。

  • 食べている途中で、席をたたないでください。
  • 食事の途中で、席をたたないでください。
  • 試合の途中、旅行の途中、出張の途中

ところで、最近は日本に来た中国人観光客が大量にお土産(みやげ)を買うことがよく話題にのぼります。これを表す「爆買い」(ばくがい)という新しい単語もできました。日本人も家族、友だち、同僚などにお土産を買って帰ることが知られていますが、爆買いはせず、少しずつ買っているような気がします。
確かに素敵なお土産を買ったり、もらったりするのは楽しいですが、無料のお土産「土産話」も良いものですよ。
土産話: 旅行の経験を話して聞かせること
先日、外国人の友だちが京都に初めて行きました。美しい旅館に感激したこと、人混みの人気スポットでいらいらしたこと、静かなお寺で日本の文化をゆっくり味わえたこと、彼らの京都観などを話してくれて、聞き手の私もお土産話を楽しみました!

2015年10月25日日曜日

フランス旅行

今月は6年ぶりにフランスへ行って来ました!久しぶりのフランスはとっても楽しくて、「この雰囲気がやっぱり大好きだ♡」と実感しました。今回の旅の目的はパリに住んでいる友人たちに会うことと、シャンパーニュ地方への小旅行でした。
私はぶどう畑のある町へ旅行するのが大好きなんです。ワインが好きですし、ぶどう畑が広がる景色はどこもとても美しいので、フランスのボルドーをはじめ、カリフォルニアのナパ、南アフリカのケープタウンの近く、日本では山梨と長野のワイナリーを見に行ったことがあります。
シャンパーニュではぶどう畑の間を自転車で回って、本当に気持ち良かったです。ぶどうの収穫後でしたが、緑の葉が少し紅葉していて、そんな丘の斜面がどこまでも続いています。絶景でした!

シャンパン地方 アイ村
ピノ・ノワールのぶどう畑


パリの友人たちは昔、私が東京で日本語を教えていた人たちです。日本を出て以来、会ってなかった人たちと、その後も定期的に会っている人たちがいますが、離れていても友情が続いていることに感謝です。
その中の一人の家に今回は泊まらせてもらいました。彼女は3年ほど日本に住んでいて、2年ぐらい前に帰国しました。でも、彼女の日本語はまだとても上手です!忘れてしまったこともありますが、日本語の言葉や表現がすらすら出て来るのは驚きです。彼女は語学の習得に優れている上に、東京で集中的に日本語を勉強したおかげで、日本語力が持続しているのだと思います。

それから、もう一つのポイントは「彼女はとにかく話したいことがたくさんある」という点です。もともとの性格が積極的で、母国語では言いたいことをほぼ全部言うし、質問したいことをほぼ全部聞くタイプです。こういう姿勢が外国語になっても、変わらないのです。それで、言いたいことを言うために勉強がどんどん進んだのでしょうね。語学の習得のためにとてもいいことですし、大切なことだと思います。

私もそうですが、外国語を話す時に「ちょっと何て言っていいかわからないから、言うのはやめよう」と黙ってしまうことがよくあります。でも、そういう姿勢が普通になってしまうと、自己表現が十分できず、フラストレーションがたまりますし、語学力も伸びませんね。外国語を通しても、自分らしくいることは当然のことですが、意外とあきらめてしまう人も多いのではないでしょうか?

皆さんもこの友人のように「どんどん勉強して、どんどん使う」という良い循環を習慣にしてくださいね。

友人のアパートからの景色。パリの夕暮れ。