10月は日本語についてたくさん考えて、たくさん書く仕事があったため、ブログを書く時間がありませんでしたので、11月に2回投稿できると良いのですが・・・
先日「後で」と「後に」の違いは何ですか?と質問をもらいました。基本の表現で日本語ビギナーでも知って使っていますが、私は今までちゃんとその差について考えたことがありませんでした。それはどっちでも良い場合がほとんどだからです。
それなら、一つしか使えない場合を考えてみればいいんだ!と気がつきました。「後に」が使えなくて、「後で」しか使えない表現は「また後で」です。
- また後で。(言える)
- また後に。(言えない)
ここで「後で」が指す「後」はいつのことかわかりません。今から後ならいつでもあり得ます。つまり、「後」の指す時間には幅があります。
- 後で話そう。
- 後でちょっと時間がある?
- 母:部屋のそうじをしなさい。→子ども:後でやる。
どの例も「後」が示す時間は今から後というだけで、漠然としています。
これに対して、「後に」の「に」は「何かが行われる時」を表すので、「いつ?」という質問と一緒に考えてみるのがいいでしょう。
- 山田:私たちは次いつ会う?→田中:私の出張の後に会おう。
会うタイミングは出張の後と特定しています。逆に言えば、会う前に出張があります。
- 患者:この薬はいつ飲めばいいですか?→医者:晩ご飯を食べた後に、飲んでください。
医者は薬を飲むタイミングを教えています。薬を飲む前に晩ご飯を食べます。
「いつ」が無い文を見てみます。
- 母:まず宿題をして。ゲームはその後にして。
母はゲームができるタイミングを伝えています。ゲームの前に宿題をします。
ここで「また後で(会いましょう)」の例に戻ると、「また後に」が使えないことがよくわかります。「また後で」は今より後というだけで、何かの後に会うわけではないからです。「また後で」は「前にすることに言及して会うタイミングを特定する」ことはしていません。
このような差があると私は考えていますが、皆さんに強調したいことは、次の文が間違いではないことです。
- 私の出張の後で会おう。
- 晩ご飯を食べた後で薬を飲んでください。
- 宿題をして。ゲームはその後でして。
ただ違いは何ですか?と聞かれれば、上記のようなニュアンスの差があるということです。そして、その差はとても小さいと思うので日本人でさえも適当に使っていると思います。
では、もう一つ例を出します。
- 上田:いつテストが始まるの?→木村:一週間後に始まるよ。(「後に」の読み方は「ごに」または「あとに」です。)
これは、上田はテストがもうすぐ始まることを知っていて、「いつ始まるか?」が知りたい文です。つまり、会話の焦点はテストのタイミング、今から一週間後です。
一方、「今から一週間過ぎたら、何があるか?」という質問で「テストがある」と教えたい場合は次の文になります。
- 一週間後でテストが始まる。(「後で」の読み方は「あとで」です。)
それで、「後で」の文は「後で何が行われるか?」ということにフォーカスがあるとも考えられます。
- プレゼンテーションの後で、皆様にお知らせがあります。
こう言うと、「皆様にお知らせがあります」が最も伝えたいことかなと思います。しかし、先ほども書いたように「プレゼンテーションの後に、皆さまにお知らせがあります。」は使えないという意味ではないので、それは忘れないでください!