2013年11月20日水曜日

N4レベルで読む 日本の名作 『雨ニモマケズ』

今は11月下旬。東京の紅葉も美しくなり、間もなく12月の日本語能力試験ですね。テストの勉強をいっしょうけんめいしている方がたくさんいると思います。試験を受けるからには、合格したい、いい点がとりたいと思うのは当然のことですね。合格という目的を持って、集中して勉強することはとても効果的です。でも、仕事などで忙しい中、勉強していると「大変だな~、つまらないな~」と思うこともあるでしょう。私はみなさんにいつも楽しく勉強してほしいと思っています。

日本語上級者になれば、様々なテーマについて日本語で読んだり、聞いたり、話したりすることができます。それぞれの興味に合わせて、勉強することもできて、教科書的ではない日本語を知る機会が増えます。でも、初級や中級レベルだと本物の日本語(例えば、日本人向けの本や新聞、ニュースなど)を使って、勉強するのはなかなか難しいですね。教科書はもちろんいい教材ですが、教科書にのっている例文や読み物はほとんど同じテーマで、正直に言うとおもしろくないですよね。それで、私はいつも外国人が日本語の勉強に使える本物の日本語の教材を探しています。

今日は宮沢賢治(みやざわ けんじ)というとても有名な作家の短い作品を紹介しようと思います。
N4レベルの日本語学習者は辞書を使えばこの作品が読めます。それ以上の方たちには文法は簡単ですが、日本人ならだれでも聞いたことがある文章なので、ぜひ読んでみてください。
宮沢賢治(みやざわ けんじ)は1896年に東北の岩手県で生まれて、1933年に亡くなりました。紹介する作品は彼が死ぬ2年前に書かれました。
「雨にも負けず」 (あめにもまけず)
雨にも負けず 風にも負けず 雪にも夏の暑さにも負けぬ じょうぶな体を持ち 
欲(よく)はなく 決して怒らず(いからず) いつも静かに(しずかに)笑っている(わらっている)
一日に玄米(げんまい)四合(よんごう)と みそと少しの野菜を食べ 
あらゆることを 自分を 勘定(かんじょう)に入れずに
よく見、聞き、知、わかり そして忘れず
野原(のはら)の松(まつ)の林(はやし)のかげの  小さなかやぶきの小屋(こや)にいて
東に病気の子どもあれば 行って 看病(かんびょう)してやり 
西につかれた母あれば 行って その稲(いね)の束(たば)を負い(おい)
南に死にそうな人あれば 行って こわがらなくてもいいと言い
北にけんかや訴訟(そしょう)があれば つまらないからやめろと言い 
ひでりの時は なみだをながし 寒さの夏は おろおろ歩き
みんなに「でくのぼう」とよばれ ほめられもせず 苦(く)にもされず
そういう者に 私は なりたい 

以上です。
原文は漢字とカタカナの交じり文で、実は漢字はあまり使われていません。上の文章は読みやすくなるように私が漢字をもっと入れて、それ以外はひらがなで書きました。

 文法のポイントは「~ず」、「~ば」と受け身形 (passive form) です。漢字と単語は調べなければなりませんが、それがわかれば理解できるはずです。読んでみて、質問があればコメントを書いてください。また、日本語の質問だけではなく、こんな生き方についての意見もあれば、ぜひ聞かせてください。
 
 
 
 

直訳できない "It's a beautiful day!"

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