では、今日はシンプルな二つの文を比べてみましょう。
それはいいです。
それがいいです。これらを比べてみると、もちろん見た目は「は」と「が」が違うだけ。 でも、それだけでしょうか。意味は両方 "That's good." ?
「は」と「が」の違いを考える時、『「は」の後ろの部分が重要、「が」の前の部分が重要』という基本のルールがあります。これを基に次の例文を考えてください。
①
A:ゴールデンウィークに日光に行きます。
B:それはいいですね。「それ」が指す文「ゴールデンウィークに日光に行く」ことはいい考えだと言っています。「は」の後ろの部分が重要ですから、「その考えは悪くない、いい。」という判断を伝えたいのです。
②
A:連休中は車が混むから、電車で行くことにしました。
B:それがいいですね。「それ」が指す「車じゃなくて、電車で行くこと」がいい考えだと言っています。「が」の前の部分が重要ですから、「電車という選択がいい。」と言いたいのです。
Aさんが日光に行く以外に、AさんとBさんは暇なようです。
③
A:天気もいいし、ゴールデンウィークはいいね~。(The Golden week is GOOD.)
B:いつBBQがしたい?ゴールデンウィーク中?ゴールデンウィークの後?
A:ゴールデンウィーク中がいいな。(DURING THE GOLDEN WEEK is better.)
「ゴールデンウィーク中がいいな。」は「飲み物はコーヒーとお茶、どちらがいいですか?」と聞かれて「コーヒーがいいです。」(Coffee is better./ I prefer coffee./ I'll have coffee.) と答えるのと同じ意味合いです。
④
A:私の会社はゴールデンウィーク中はずっと休みなんです。
B:それはいいな。(That's nice. *"I'm jealous." という気持ちも含まれていると思います。)
B:私も3日からは休みだから、3日にBBQをしようか?
A:それがいい!(That's what I want. *「が」の意味をあえて表せば、こうなるでしょうか? )④の「それはいい。」は①と③の例と同様に、普通「それ」が指し示す前の文について、良いか、良くないかの判断をする文です。
⑤
A:子どもを連れて来てもいい?
B:それ(子ども)はいいよ。(You can bring children.)
A:犬も連れて来てもいい?
B:それ(犬)はだめ。(You can't bring a dog.) Cさんは犬が好きじゃないから。この「いい」は「許可する」という意味です。そして、「子どもは」と「犬は」の「は」は二つのトピックを並べて、コントラストを表しています。「子どもを連れて来るのは許可するけど、犬を連れてくるのは許可しない。」ということです。
⑥
B:3日に買い物を手伝ってもらえる?
A:それはいいよ。(I don't mind it.) でも、朝早かったら、手伝えないかも。これは「それ」が指す前の文に同意して、「大丈夫ですよ。」「私はそれをしますよ。」と言っています。「いいね!」とは違うトーンです。
このように見ると、「それはいい。」と「それがいい。」は単純な文でも、"That's good." "That's nice." と簡単な訳だけで済ませない方がいいと思います。それ以上の意味合いを含むことが多いですが、どちらの場合でも前の会話の理解なしでは、文脈に沿った解釈ができないので、会話の流れから意味を考えるようにしてください。
では、楽しい休みを過ごしてください!