さて、今回のテーマは「出る」です。「出」の漢字は日本語初心者でも覚えられるぐらい簡単ですし、意味は "out" だと知っている方も多いでしょう。初めの内はそれでも良いのですが、しばらくすると「出る」の別の使い方に気がつく人もいるのではないでしょうか。
まずは、基本の「出る」から始めましょう。基本の意味は "appear" や "come out" です。
- 水道から水が出ている。
- そのニュースを聞いて、涙が出た。
- 来月、好きな作家の新しい本が出る。
「本が出る」は "The book is published." と訳されますが、「本が世の中に出て来る」という意味では基本の意味と同じです。
次に、この基本の「出る」に場所を追加しましょう。
- 午前8:00に私は家を出た。
- 12:00に飛行機は空港を出る。
この場合、「出る」の意味は "leave" または "depart" になります。「家から外に出る」「飛行機が空港から出て、他の町に行く」という意味で、"out" の意味が感じられると思います。そして、「場所+を」は「物+を」(例えば、「私はコーヒーを飲む。」「彼は映画を見る。」)と違うこともしっかり理解する必要があります。「場所+を」の「を」には「その場所から離れる」という感覚があって、英語の "off" の感じと似ているかなと私は思っています。「場所+に」「場所+で」だけではなく、「場所+を」の使い方も覚えてくださいね。
さあ、ここまで「出る」には "out" "off" のような意味があったのですが、"in" "towrds" のような意味を含んでいる時もあります。
さあ、ここまで「出る」には "out" "off" のような意味があったのですが、"in" "towrds" のような意味を含んでいる時もあります。
- 彼は次の試合に出る。
- 彼女は昨日会議に出た。
意味は "play in" "attend" "perform" になります。最初の文なら、「彼は練習場を出て(離れて)、試合のためのグラウンドやピッチに出る(向かう)。」という感じがします。
つまり、「出る」は助詞が「を」か「に」かによって、移動の方向や感覚が変わるのです。
- 旅に出る。(leave on a journey)
- 前に出る。(move forward)
- 電話に出る。(answer a phone call)
これらの例も「に」が持つ役割のために、動作する人が「旅」「前」「電話」の方へ向かっている様子が想像できます。
それで、今後「出る」を見たり聞いたりしたら、"out" だとすぐに判断せず、動詞の前の部分の助詞が何であるか、まずチェックして、正しい意味を選択してください。