2020年6月26日金曜日

「そう」と「よう」

今年は7月のJLPTが中止になりましたね。残念がっている人、よろこんでいる人がいるでしょうか?今回、私もある生徒をN4のテストに向けて教えていました。彼は7月にもぎテスト (mock examination) をやってみて、結果によっては今年12月にN3挑戦を目指して、勉強を続けていくことにしました。

N4レベルを教えていると、必ず生徒が混乱するのは「そう」と「よう」です。皆さんも迷ったことがありますよね?または、今迷っていますか?英語では両方 "appear" "look like" と訳すことが多いので、何がちがうの?!と思いますよね。
それで、「そう」は "likely to happen" "nearly happen" と考えた方が違いが出て、わかりやすくなると思います。

「verb stem + そう」(例:しますそう)を使うのは、何かが起きる前のシーンを見た時です。たとえば、お決まりの例ですが、次の絵を見てください。



雲が多くて、空が暗いです。雨が降る直前です。この場合に、「雨が降りそうです。」と言います。そして、よく「今にも、雨が降りそうです。」とも言います。「今にも」の意味は "soon" "in a moment" なので、「verb stem + そう」は、まだ起きていないこと、つまり、将来に何かが起きる可能性を指しています。



次に、この絵はどうでしょうか?屋根のかわら (roof tile) が二つ落ちています。そして、あと二つはまだ屋根の上にありますが、もうすぐ落ちる可能性があります。だから、この場合は「かわらが落ちそうです」と言います。

一方、「よう」は今見ている場面をそのまま表すためには使いません。まず、何かを見る→ そこから何が起きたか、または何が起きているのかを推測して、自分の判断をくだすというプロセスがあります。



  1. 何かを見る:窓の外に虹を見る。地面には水たまりがある。
  2. 推測し、判断する:雨が降った。(でも、雨が降っていたのは知らなかった。)
この場合に「さっき雨が降ったようです。」と言います。

  1. 何かを見る/感じる:だれかが料理をしている。スパイスのにおいがする。
  2. 推測し、判断する:カレーを作っている。(でも、何を作っているか知らない。)
この場合に「カレーを作っているようです。」と言います。
このように、「よう」を使うためには、まず見たり感じたりして情報を得ます。それに基づいて、自分で何かを推測することが必要です

では、もう一例。「そう」は形容詞と一緒に使うこともできます。


カレーができました。まだ食べていないから、おいしいかどうかわからないけど、「このカレーはおいしそうです。」これも、「おいしい」という可能性があることを表しています。「おいしそう」は "It looks delicious." と訳されますが、"It could be delicious." という意味を含んでいます。そして、「形容詞+そう」の場合は将来に起きる可能性ではなく、現在の状態の可能性を表しています。カレーを味見するのは少し後(将来)ですが、このカレーはおいしいかもしれないという可能性です。

そのため、"This baby looks cute!" は「この赤ちゃんはかわいそう。」にはならないのです。英語では赤ちゃんを目の前にして、”She looks cute." と言いますが、今見ている赤ちゃんはかわいい可能性があるという言い方ははとても変ですね。食べていないカレーは味がわからないから「おいしそうです」と言えますが、目の前にいる赤ちゃんをかわいいと思えば、「かわいいです」と言います。

*「そう」はもう一つの意味 ("I heard" "Someone told me" ) がありますが、ここではそれについては書いてありません。




2020年5月31日日曜日

てもらう/ていただく

皆さん、世界をおそっているコロナウィルスの状況下で、元気にしていますか。日本では緊急事態は終わったものの、まだ注意して生活を続けなければいけません。3月末から私の日本語レッスンもすべてオンラインレッスンに変わり、これからもしばらくはそれを続ける予定です。私にとってオンラインレッスンは問題はありませんが、外出できないのは退屈だし、運動不足にもなるし、やっぱり元の健康的な生活をしたいなぁと毎日感じています。皆さんが心も体も健康で、この状況を乗り切っていることを願っています。

さて、今日はコロナウィルス関連のニュースを見ていて、気になった表現について、考えてみます。最近はあまりチェックしていないのですが、東京で緊急事態宣言が出た直後は、東京都知事の都民に向けての会見をよくニュースで見ていました。その時に、都知事がいつも「都民の皆さまに協力していただきたい」と言っていました。これは、本当に良く使う普通の表現なのですが、私は日本語教師として、以下のことを考えました。
「~てもらう」「~ていただく」の基本の意味:他人の好意によって、自分が利益をうける、To receive benefit from someone's action
この基本の意味にしたがうなら、都知事の「皆さまに協力していただきたい」は、「都民がマスクをしたり、家にいるようにしたりすることで、都知事にとって良いことがある」という理解は正しいのでしょうか?私はそう考えました。

ちがいますね。都知事は彼女の利益のために、みんなからの協力を求めているわけではありません。みんなが協力すれば、それはみんなの利益になる、つまりウィルスへの感染が減って安全に生活できるようになるという意味ですね。

では、別の例も紹介します。これもコロナウィルスに関するニュースを見ていて、あれ?と思った文です。日本では今、ジョギングをする時でもマスクをするようにすすめられています。このニュースで、ある大学教授がマスクをしながら走るのは、暑くなるし、呼吸も難しくなるので、ゆっくり走ることをすすめていました。彼は「ゆっくり走っていただくことが、体に安全だ」というようなことを言っていました。

この「走っていただく」の使い方も、日本語的にとても自然ですが、「どこかの道をジョギングしている不特定の人がゆっくり走ることによって、教授の利益になる」という理解は変ですね?

教授はランナーたちが彼の提案を実行することを望んでいます。「マスクを付けて、ゆっくり走れば、それはランナーの体にとって良いことですよ。ランナーの皆さん、私の言ったことを信じてください」という意味です。

都知事にしても、この教授にしても、自分の利益のために「いただく」を使っているのではなく、「私が言ったことを信じて、それをやってください」というリクエストなのです。「てもらう」「ていただく」のバリエーション的な使い方だと思います。

さきほども書きましたが、このバリエーションは頻繁に使われているので、この使い方を頭にとめておいて、「てもらう」「ていただく」を聞いた時に話し手の意図を考えてみるといいと思います。






2020年4月27日月曜日

Charity Nihongo lessons online

I'd like to announce my plan for this Golden week.
I'll have charity Nihongo lessons online. If you're interested, I'd appreciate your participation.

Your donation will go towards supporting the COVID-19 crisis. Please use one of these websites.

The minimum donation is 1,000 yen.
The lesson is 30 minutes long.

Dates: Monday May 4th, Wednesday May 6th and Saturday May 9th
Time: between 9 am and 5 pm JST

1) Please email me (okamoto9327@yahoo.co.jp) and book a lesson.
2) Please make a donation after you receive my confirmation email.
3) Please send me a screenshot to prove your donation.
4) I'll send you a Zoom invite.

Please send me a screenshot of these pages.


どなたかとチャリティレッスンができることを楽しみにしています!


2020年3月14日土曜日

助詞の省略

世界中にあっという間にコロナウィルスが広がってしまいました。一人一人が自分の健康管理に気をつけて生活を続けるしかないですね。そして、多くの情報やコメントを読むことでストレスが増すので、それも自分でコントロールしないといけないと思います。この問題が一日も早く終わりますように。

では、気分を変えて、日本語の勉強を始めましょう。日本語を友だちや家族とカジュアルに話す時、よく助詞(は、が、に、で、を、など)を省略することは、知っていますね。
例:あとで何する?、どこ行く?
本来の完全な文は、「あとで何する?」「どこ行く?」です。
もともと、日本語は文脈に頼る言語です。「私は」や「あなたは」など行動する人を省略しても、会話の流れから言いたいことが通じるのです。つまり、助詞を省略できるということは、助詞がなくても文の意味がわかるということです。
じゃ、「で」か「に」?、「は」か「が」?など、いつも迷うし、めんどうくさいから全部省略して話したい!と思いますよね?でも、助詞は全部省略できるのでしょうか?

いいえ。省略できない助詞もあります。その助詞が無いと、文の意味がはっきりわからない場合があります。それで、今日は省略できる助詞とできない助詞を分けてみましょう。

【省略できる助詞】
「を」
  • 食べる?
  • 映画見よう。
方向を表す「に」
  • どこ行くの?
  • 今日しぶや行って、買い物した。
 位置・存在を表す「に」
  • 今どこいる?
「は」
  • これ何?
  • このケーキおいしい!
「が」
  • 明日だれ来るの? 
  • 降ってる。
時を表す「に」
  • 何時出る? 
  • 休みの日のんびりする。

【省略できない助詞】
行動の場所の「で」
  • どこ食べる?
手段の「で」
  • 東京にどうやって来たの?→電車来た。
「で」を省略して「電車来た」になると 、「電車が来た」(The train came.) という意味にもなるため。
wih  の「と」
友だち行く。
「と」を省略して「友だち海に行く」になると、「友だちが海に行く」(My friend is going to beach.) の可能性もあるため。

対象の「に」
  • 山田さんあげた。 
「に」を省略して「山田さん花をあげた」になると、「山田さんが花をあげた」(Yamada gave flowers.) の可能性もあるため。 文の中に人が二人いる時は、助詞を付けてその人の役割をはっきりさせないといけません。「私、山田さんあげた。」なら、「に」のおかげで、山田さんの役割は花をもらった人だとすぐにわかります。上の「と」(with) も同様です。

追加の「も」
  • ビール飲んだ。ワイン飲んだ。 
「も」自体が不可欠な助詞ではなく、敢えて「追加」の意味を表すために使っているので、省略すると「ビール飲んだ。ワイン飲んだ。」(I had beer. I had wine.) となり、正しい文ですが、単純な文になってしまいます。

どうでしょうか?他にもこの助詞は省略できるの?と知りたい場合はコメント欄に質問を送ってください。

では、みなさん Take care!!

2020年2月24日月曜日

とても難しい日本語の文

先日、私の生徒と日本の歴史のまんが(*1)を読んでいた時、すごく難しい文を見つけました。日本の歴史に関する単語も難しいのですが、その上、文の構造が複雑で、何と何がどう関係しているのか、ひと目見ただけで理解するのは大変そうです。では、その文を読んでみてください。
これは、明治になってもわが国に、男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる封建的な考え方が、根強くのこっていたことを物語っているものです。
う~ん、やっぱり難しい文ですね。では、これらの文を助詞を手がかりに小さい部分に分けてみます。少し読みやすくなるでしょう。
  1. これは、
  2. 明治になっても
  3. わが国に、
  4. 男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる封建的な考え方が、
  5. 根強くのこっていたことを
  6. 物語っているものです。
【単語リスト】 
明治:Meiji era
わが:our
男女の差別:gender discrimination
はじめとする:commencing with, including
上下の差別:hierarchical discrimination
重んずる(おもんずる):to respect
封建的な(ほうけんてきな):feudal
考え方:idea
根強く(ねづよく):firmly rooted, deep-seated
のこる:to remain, to be left
物語る(ものがたる):to tell, to indicate
それでは、6つに分けた部分を組み合わせて、文の構造を見ていきます。助詞の意味が重要ですから、助詞に集中してください。
  • 1+6
これ 
物語っている(ものです)。
"This indicates...." 
文の最初の「~」はその文のトピックです。そして、普通それは文の最後の動詞とつながっています。1の「これ」はここには書いていない前の部分の「身分差別の存在」を指します。
"The ongoing class discrimination indicates...."
「何を物語っているのか?」それをこれから理解していきましょう。
  •  2+3+4+5
明治になっても
わが国
(男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる)封建的な考え方
(根強く)残っていた(ことを)
まず、(   )の部分を取って、文をシンプルにして考えます。
明治になっても わが国 封建的な考え方 残っていた
"Even in the Meiji era in our country the feudal ideas were firmly rooted." 
次に、一番難しい4の部分を分解して考えます。
「男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる」は「封建的な考え方」の説明です。封建的な考え方とはどんなもの?という説明です。そして、それは「めがねをかけている人」(a person wearing glasses) と同じパターンです。
上下の差別を重んずる 封建的な考え方
"the feudal way of thinking which favored hierarchical discrimination"
そして、「上下の差別」とはどんな種類の差別を含むのか?一つの例は「男女の差別」です。
男女の差別をはじめとする 上下の差別
hierarchical discrimination including gender discrimination 
他の例なら、「東京をはじめとする関東地方に 雪が降った。」はどうでしょうか? "It snowed in the Kanto region including Tokyo." こんな風に訳せます。

5の部分は二つに分けて考えます。まず、「残っていた」は「封建的な考え方」とペアになる動詞です。ですが、「ことを」の「~」は目的語ですので、この部分は動詞を必要とします。「私はお茶を飲む "I drink water" 」と同じパターンです。「こと」に続く動詞は何でしょうか?それが、6の「物語っている」です。1+5「これは物語っている」(This indicates.) が何を物語っているのか?それが「こと」の部分です。

そして、この「こと」によってまとめられているものが、2+3+4+5の全てです。文全体を訳してみると、次のようになるでしょうか?
This (ongoing class discrimination) indicates that the feudal way of thinking which favored hierarchical discrimation including gender discrimination was deeply rooted in Japan even in the Meiji era.

まとめとしては、どんなに長い文でも最後まで読みましょう。日本語ではメインの動詞が最後に来るので、それをチェックします。そして、その動詞の主語は何?(それは普通「は」か「が」が付いているか、省略されている場合もある。)、目的語は何?(それは普通「を」が付いている。)と、助詞をチェックしながら、確認します。
例)毎朝 私は カフェで コーヒーを 飲む。
メイン動詞:飲む、主語:私は、目的語:コーヒー  
そうすると、文の基本の意味がわかりやすくなるはずです。
もし、何度読んでみてもわからない文があったら、コメント欄に送ってください。


*1『少年少女日本の歴史、第17巻明治維新』146ページ、小学館、1998年


2020年1月11日土曜日

Private Japanese Lesson Instagram

皆さん、楽しいお正月休みを過ごしましたか?
早速ですが、日本語中級向けのインスタグラムを始めましたので、ぜひご覧ください!!
1月中には今年初の日本語解説もします。


今年もよろしくお願いします!
岡本 美奈子 (Minako Okamoto)