神話をかんたんに説明すると、日本の創世期、800万の神々がいましたが、その中にアマテラスオオミカミ(天照大神)という太陽神の女神がいました。アマテラスには弟がいましたが、この弟が大変な問題児で、それに怒ったアマテラスは天にある岩のどうくつに隠れてしまいました。太陽神のアマテラスがいなくなったので、世界は真っ暗になってしまい、米は育たず、病気が流行するなど問題が発生しました。そこで、800万の神々はアマテラスを誘い出すために、彼女のいるどうくつの前で祭りを始めました。楽しいことが大好きなアマテラスは外の祭りの様子が見たくて、どうくつの戸を開けました。アマテラスが出てくると、世界に光と平和が戻ったということです。その時、ある神様がどうくつの戸を持ち上げて、投げ捨てました。その戸が落ちて、できたものが戸隠山で、戸隠神社はその山の中にあります。
こんな歴史のある山を歩き、神社でお参りをしました。日ごろの負の気持ち(1)を落とすためです。ここに行くのに、私は朝、早起きをしなければいけなかったのですが、前日の夜に友だちとタコ焼きパーティーをしていて、飲みすぎ、寝不足・・・気持ちが悪い(2)いう程ではなかったけど、眠くて、体が痛くて、気分が悪い(3)状態で神社の入り口に着いたのは午前11:40。神様にお参りするには午前中の方が良いそうで、私たちは2キロの道を急いで歩いて、神社に向かいました。12:00前、もうすぐ神社に着くというところで、ストップ!なぜなら、神社の前にはたくさんんの人が並んでいました。残念!12:00前にお参りはできませんでした。でも、山の上にある神社は空気が冷たくて、川や滝から水の音がして、お参りの後、私の気分は良くなっていました(4)。帰りは、ゆっくり杉並木を歩きながら、さわやかな空気を吸って、気持ちが良かった(5)です。
では、ここから今日のテーマ「気持ちが良い/悪い」と「気分が良い/悪い」の類語の説明をしましょう。
この二つは漢字も同じで、意味も使い方も同じ部分がとても多いですね。まず、二つとも良い・悪い、明るい・暗いなどの心の状態、それに体の状態を表します。
上の文の(2)と(3)は体の状態を表しています。
- 気持ちが悪い: 病気や食べ過ぎ、飲み過ぎなどが原因で、はきたい状態。
- 気分が悪い: 体の調子は悪いけど、はきたいほどではない。ちょっと休みたいなというぐらい。
「気持ちが悪い」方が、程度が強いことがわかりますね。体がかたくなって、マッサージをしてもらった時に、「気分が良い」ではなくて、「気持ち(が)良い」と言うのは外からの強い刺激があって、それを感じる程度も強いからではないでしょうか。暑い中スポーツをして、汗をいっぱいかいた後で、冷たいシャワーを浴びた時も「気持ち良い」と言うでしょう。
では、心の状態は?
- 気持ちが悪い: いやな物を見たり、その話を聞いたりして、心がとても不快に感じる状態。例) 死んだ動物を道で見た場合。
- 気分が悪い: 「気分が悪い」と同じ感じだけど、程度が弱い。また、いやな物を見たり、その話を聞いたりして、腹が立つ/むかつく感じもあります。例) 自分の作った物に対して、だれかがきびしい批判をした場合。
- 気分が良い: 疲れがとれたり、ストレスや悩みがなくなったりした状態。(4)の場合だと、「気分がすっきりする」とも言える。他には、お酒を少し飲んで、心が何となくリラックスした場合にも「気分が良い」が使えるが、この場合は「すっきりした」というより、「楽しい、うれしい」感じ。
- 「今朝は気分が良いなあ」と言うと、上で説明したとおりに、昨夜あった疲れやストレスがとれて、すっきり目が覚めたという感じ。
- 「今日は気持ちが良い朝だなあ」と言うと、目が覚めたら、天気が良くて、さわやかな空気につつまれている感じ。
最後に、(1)の「気持ち」の使い方ですが、これは心の状態だけではなく、考え方や考えの内容も表しています。「負の気持ち」とはネガティブな考え方、感じ方のことです。他には、「彼の気持ちが全然わからない」と言うと、「彼の考えていることや感じていることがわからない」という意味です。この場合には「気分」は使えません。
「気持ち」と「気分」、とっても似ている言葉ですね。しかも、客観的なことではなく、個人の感情や状態を表す主観的な言葉ですから、使い分けも難しいです。何となくわかってもらえましたか?