2009年3月15日日曜日

矢印が見える?

昨日は3月14日、ホワイトデー、今日は3月15日、3月の真ん中で、東京はすっかり暖かくなりました。3月25日には桜が咲く予定、つまり「桜の開花予想日」も間もなくです。桜の開花予想はこの時期に天気予報で発表されます。
温暖前線、寒冷前線という天気の前線は世界どこでもあるでしょうが、日本には桜の開花が南から北に移動していくペースを表示する「桜前線」もあります。桜は本当に日本では特別なモノですね。


さて、今日は以前に質問があった「かける」について書きます。この動詞にはたくさんの意味がありますね。と言うより、多すぎます。例えば、

  • 友だちに電話をかける (call)
  • 絵を壁にかける (hang)
  • ドアのかぎをかける (lock)
  • お金をかけて、ゲームをした (bet)
  • とうふにしょうゆをかける (pour)
  • 家までかけて、帰った (run)
  • 2 かける 3は 6 (multiply) などなど・・・

でも、今日は一つの意味だけに注目しましょう。まず、次の文を比べてみてください。

  1. 私は 旅行のことを 友だち 話した。
  2. 私は 旅行のことを 友だち 話した。


何か、違いを感じますか?1の「」は動作の方向性を表しているので、「私→友だち」、一方通行に話している絵が見えます。2の「」は対等の立場を表しているので、「私→友だち」と「友だち→私」お互いに話している絵が見えます。 ある本(*1)に良い例があげられています。

  1. 僕は 彼女 キスをした。
  2. 僕は 彼女 キスをした。


1は「僕が彼女に近づいていく様子」、2は「二人がお互いに近づいていく様子」が目にうかびます。
「電話をかける」の「かける」には、この「」と同じ役割があると思います。「相手に向かって、なにかをする」 次の例も同じ意味ですね。「私→彼」の絵が見えますか?

  • 私は 彼に 声を かけた
  • 私は 彼に めいわくを かけてしまった。
  • 私は 彼に 大きな期待を かけた


それから、「動詞+かける」の例には「話しかける」や「笑いかける」などがあります。これらも「ある人から相手に向かう動作の方向性」が表わされています。しかし、どの動詞にでも使える訳ではなくて、使える動詞は限られています。例えば

  • 通りで友だちを見たので、私は 彼女に 呼びかけた
  • 私が 彼に 問いかけると、彼は 答えてくれた。
  • 私は みんなに 真剣に 語りかけた
  • 犬が逃げてしまったので、私は 犬を 追いかけた
  • 私は 友だちに 相談を 持ちかけた
  • この会社の協力を得るために、私は 彼らに 働きかけている


さらに、「私は友だち話した」と「私は友だちに話しかけた」の違いは、「話しかける」は「相手の名前を呼んで、会話をスタートさせる最初の行為」です。例えば、「山田さん、元気?」と言って、話し始めることは「話しかける」です。その後、何かについて友だちに話す、または話しつづける。

また、「話しかけて来る」なら、「他の人の行為が私に向って来ること」を表しているから、「他の人→私」の絵になります。

  • 急に 彼は 私に 話しかけて来た
  • 急に 私は 彼に 話しかけられた。(受け身形)

上の二つの文は同じ状況を表しています。あ~、どんどん複雑になりますが、とにかく「かける」の方向性、つまり、矢印(→)の向きがわかれば、良いのではないでしょうか?まだ、質問があれば、ぜひ聞かせてください。

(*1)『問題な日本語』、北原保雄編、大修館書店、2004

6 件のコメント:

Vince さんのコメント...

こんにちは!

ビンスと言います(Vince)。 いつも皆さんのため、素晴らしい教育的な投稿を作ってくれて本当に有難うございます。「かける」という不思議な言葉の意味がやっとわかりました、と思います。

しかし、もう一点をお願いしたいんですけど。それは「かかる」という言葉です。「かかる」は「かける」と関係が感じられるんですけど、はっかり分からないので、・・・助けていただけないでしょうか。

ありがとう。

minako okamoto さんのコメント...

Vince-san,コメントありがとうございます。
「かける」と「かかる」は 確かに関係がありますね。ヒントは「かける」は他動詞(たどうし)。「かかる」は自動詞(じどうし)、そして、受け身の意味があります。
ちがいを考えてみてください。

Jonathan さんのコメント...

岡本先生

夏が近づくにつれ天気が温かくなりつつありますね。私も日本の桜前線が見たいものです。ぜひ私の分も桜が咲くのを楽しんでください。

さて、また情報たっぷりの投稿ありがとうございます。

「家までかけて、帰った」という言い方は私は知りませんでした!漢字で書くと、確か「駆ける」にあたるでしょう。使ってみたいです。

「授業に遅刻しそうだったので、教室まで駆けた。」
この文はいかがでしょうか。

「大きな期待をかける」という言い方も身に付けました。

「かける」って本当に多用性のある言葉ですね。ところで、「食べかける」から「食べかけの~」という形もありますね。「おい、この食べかけのサンドイッチは一体誰んだよ!」とか言えるのではないでしょうか。

minako okamoto さんのコメント...

Hi Jonathan, いつもコメントありがとうございます。
「動詞+かける」には「まだその行為が終わっていない、始まったけど、途中だ」という意味もありますね。食べかけ、飲みかけ、やりかけ、言いかけ・・・
レストランでまだ「食べかけ」なのに、そのお皿を下げられたら、すごくイヤですよね?

minako okamoto さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
Jonathan さんのコメント...

こちらこそ、いつも面白い記事を書いていただいてありがとうございます。しかも、我がブログへのリンクを載せていただいて嬉しいです!

「お皿を下げる」という表現を私は知らなかったんですよ。まさか皿の片付けを「下げる」というなんて思いませんでした。コメント欄も勉強になりますね。

とにかく・・・うん、嫌ですよ。「まだ食ってんだから下げんな!」って感じです。〈笑〉