2009年8月10日月曜日

「遠慮」とは?

8月ですね。東京では毎週末、花火がどこかで行われています。と言っても、私は一つも見に行っていませんが・・・日本の花火は世界にほこるべき美しい物です。でも、花火会場は大混雑で、それを我慢して、暑いのも我慢して、行く気にはなれないんです。二日前は東京湾の花火大会でしたが、私は家にいて、花火の音だけを聞いていました。先週の神宮スタジアムの花火大会は妹のアパートから見えるので、花火パーティーに招待されましたが、疲れていたので、遠慮しました。

この「遠慮」の意味は何でしょうか?皆さんはわかりますか?今回は「遠慮」が含むニュアンスを見てみましょう。

上の文で「遠慮しました」というのは、つまり、「私は花火パーティーの招待を断った」という意味です。『大辞林』の辞書によると、「事情や状況を考慮して、やめること、辞退すること」という定義(1)があります。「その時の私の事情、疲れていたとか、夜遅くなってしまう、ということを考えて、行くことをやめた」という訳です。

電車やバス内には「携帯電話の使用をご遠慮ください」という注意書きがありますね。これは、「まわりの人への迷惑を考えて、携帯を使うことをやめてください」ということです。公共の場所での「たばこを遠慮してください」などというのも同じ意味です。

また、「他人に対して、言動をひかえめにすること」という定義(2)もあります。例えば、初めて友だちや恋人の家に行って、その親に会った場合、だれでも(少しは)緊張しますよね?そんな時、食べ物や飲み物を出されても、おいしからといって、どんどん食べないですよね?相手の様子を見たり、食べてもいいかなあ?と考えたりしながら、少しずついただきますね?そんな気持ちが「遠慮」です。

あなたがそんな気持ちになると、友だち/恋人のお母さんは「遠慮しないで、食べてね」と言うでしょう。「ひかえめにならないでくださいね」という意味です。

そしたら、あなたは「遠慮なく、いただきます」と言ったらいいですね。

(1)と(2)の定義を合わせると、「遠慮してください」と言う場合には、「やめてください」という強い言い方ではなくて、「まわりの状況や人の気持ちを考えて、遠慮する気持ちを持ってください」というソフトな言い方になっていると思います。意味は「禁止」なのですが、日本人らしく遠まわしに注意しているのでしょう。

そして、他の人からの招待や申し出を断る時に使う「遠慮させてください」という表現も、(1)と(2)を合わせると、「行けません」とか「できません」とはっきり言うのではなくて、「断わるのは申し訳ありません」という気持ちを含むことができます。

では、最後におもしろい表現を紹介しましょう。―「遠慮のかたまり
聞いたことがありますか?例えば、友だちと鶏のからあげをシェアして、食べている時、からあげが一つだけお皿の上に残ったことはありませんか?こんな場合に、最後の一つを食べようか、どうしようか、考えたことがありませんか?「おいしいから、もう一つ食べたいけど、最後の一つだから、私が食べてしまったら、友だちに悪いかな?友だちも最後の一つを食べたいかな?だから、食べるのをやめよう。」こういう気持ちがあって、一つだけ残っている物が「遠慮のかたまり」なのです。


こうやって見てみると、「遠慮」の使い方には日本人的な心情がよく表れていると思います。ただ、この「遠慮」の気持ちは万国共通ですよね?あなたの国の言語では「遠慮」をどのように表現しますか?

11 件のコメント:

Emilio Wuerges さんのコメント...

すごい記事でした。
ブラジルには遠慮することは褒められていません。
そして遠慮にきちんと当たる言葉ではあるまい。
電車の中に、タバコに対して、「吸う禁止」と言う表現しかいない。
最後のくーキーの前に、馬鹿にしないで、早く食べていい。
^_^'

minako okamoto さんのコメント...

Emilioさん、コメントありがとうございます。
そうですか!ブラジル人の「遠慮」への考え方も きょうみ深いですね。
はっきり「禁止」と言った方が良い場合もありますし、「遠慮」しながら、相手を気づかうことも素敵なことですし、二つのバランスがとれると良いですよね。

Jonathan さんのコメント...

アメリカはどうかな。「遠慮します」は多くのシチュエーションで使うことができるので、けっこう便利な表現ですが、それほど便利な表現は英語にないかもしれないと思います。

minako okamoto さんのコメント...

Jonathan, お元気ですか?
たしかに英語で「遠慮」を訳すのは難しいですよね。一番良い翻訳は何かな?といつも迷ってしまいます。
「遠慮」の語源は「遠い将来のことまで よく考える」。
そこから、「遠い将来のことを考えると、行動が遅くなる」→「行動がひかえめになる」というように、意味が変わって、現在の使われ方があるそうです。

Jonathan さんのコメント...

はい、相変わらず(?)元気です。
「遠慮」の語源は面白いですね。まあ、語源というもの自体が面白いですがね。

ryan さんのコメント...

岡本さん、勉強になりました!なんか、「遠慮」って言葉はもちろん
何回聞いたかわからないほど聞いたことがあるんだけど、そんなに深く考えなかった。やっぱり考えたらとても面白いですよね。

このブログを書いてくれてありがとうございます!ちょうど今、見つかったばっかりなので、少しずつ前のブログも全部読もうと思っています。

次のブログを楽しみに待ってます!

chochajin さんのコメント...

岡本さん、いつもブログを読んでいて楽しんでいます。
簡単な説明してくれて本当にありがとうございます。まだぜんぜん上手じゃない私にスゴク役に立ちます!

ドイツは「遠慮」がありますが、日本の「遠慮」と違います。「最後の残り物を食べてもいいですか」と普通家族や友達に聞きます。だめなら、最後の残り物をシェアします。

minako okamoto さんのコメント...

ryan san, chochajin san, comment arigato gozaimasu. I am now on vatacion in Fracne and I can not write in Japanese. When I come back home, I will reply to you!

minako okamoto さんのコメント...

Ryan san, blogを見ました。素敵な写真ですね。日本の家でホームステイをしていたようですから、日本人の遠慮の場面をたくさん見たのではないでしょうか?

chochajin san, ドイツでは「これ(最後のひとつ)を食べてもいいですか?」と聞くんですね。日本ではたぶん、だれかが私に「これ(最後のひとつ)を食べなよ」とすすめるまで、待っていると思います。でも、家族や親しい友人との食事の場合は、「これ、食べていい?」と自分で聞くと思います。

「遠慮」はどんな場面で感じるか、まず、それを理解しなければなりませんね。

firstbakeryattack さんのコメント...

見事なブログだよ。全く止めないで下さい。日本語を学んでる外人として俺はこのブログがすばらしいと思う。このブログを読んだら、すぐ中級から上級に成ること出来る。

ありがとう!

minako okamoto さんのコメント...

Firstbakeryattack san, コメントありがとう。
このブログを読んで、みなさんの日本語が上達すれば、私もうれしいです。

質問があれば、何でも聞いてくださいね。