2013年12月8日日曜日

Merci d'être qui vous êtes.

日本語能力試験が終わって、クリスマス休みが近づいて、みなさんの日本語の勉強も休憩モードになっているかもしれませんね。テストの勉強をしていた方、お疲れさまでした。勉強しながら、日本語のおもしろさや、母国語との違いなど色々な発見があったと思います。

外国語の間には翻訳しにくい、または直訳できない表現がたくさんありますね。でも、同じ人間なのですから、言いたいことは基本的に同じです。そんな表現は訳せないのではなくて、言語や文化の違いから異なる言い方で表されているのですよね。
例えば、今日の投稿のタイトルは "Merci d'être qui vous êtes." というフランス語で、これは英語に直訳することができます。 "Thank you for being who you are."  フランス語と英語は言語的に近いので、直訳できるのですね。でも、日本語には直訳することはできません。この "who" は「だれ」にはなりません。

できるだけ原文に近いままで訳すと、次のようになります。相手の存在と相手の持つクオリティに感謝している気持がよく表れています
あなたがあなたでいてくれて、ありがとう。
もっと自然に簡単に訳すと、次のようになります。
あなたがいてくれて、うれしい。/よかった。 
この文は相手のクオリティというより、相手の存在に感謝を表していますが、「あなたが (私と)一緒にいてくれて、うれしい。」 と言えば、"I am happy that you are with me." になって、「一緒にいること」への感謝に変わります。

あるフランス人は "Merci d'être qui vous êtes." が日本語に直訳できないことに気が付いたのでしょう。それで、この文を「(あなたが)生きていて、ありがとう」と意訳しました。これはとてもいいステップだと私は思います。母国語で考えていることを日本語で言えそうなことにうまく変えてみるというのは大切です。直訳するくせが付いている人は、辞書がないと話せない人になってしまうおそれがあります。母国語で頭に浮かんだ単語や表現が日本語でわからない時に、それに似ている単語や表現を探したり、自分の考えをシンプルにしてみるという作業をしてみてください。

ところが、「生きていて、ありがとう」という表現は実際に日本人が聞いたら、意味がわかるような、わからないようなあいまいな表現です。「生きていて、よかった。」の方が実際に使う表現だと思いますが、もう少し詳しく見てみましょう。
生きていて、よかった。
「生きている」=「死んでいない」ことに感謝を表しているので、事故や病気などの後で、元気になった場合などに使えます。ただ、この文が急に出てくると、「だれが生きていることがうれしいのか」が少しあいまいです。それで、ある単語を加えてみましょう。
生きていてくれて、よかった。
「くれて」を入れると、自分ではなく別の人が生きていることがうれしいというのがはっきりわかります。 「くれる」は自分の行動に対しては使いませんから。

自分が危ない場面を切り抜けて、自分の「生」に感謝する場合は、「生きていて、よかった。」だけでいいでしょう。場面や文脈からわかれば、「私」は必要ありません。また、自分がすごく感動したり、幸せを感じたりした時にもこの文は使えます。

今日は12月8日。信じられませんが、今年も間もなく終わります。みなさん、この一年はどうでしたか。自分の「生」に感謝して、「生きていて、よかった。」と思うことがたくさんありましたか。そんな人には幸せな年だったのでしょうね。
さらに、一年の終りに、大切な人に「生きていてくれて、よかった。」「一緒にいてくれて、よかった。」「あなたがあなたでいてくれて、よかった。」と感謝の気持ちを伝えられたら、すてきですね。



9 件のコメント:

Jerfareza Daviano さんのコメント...

岡本さん、

お元気ですか?前のN3の日本語能力試験は大変だった。合格はなんか遠い目的みたいです。

今度のテーマはすごくおもしろいと思います。なぜなら、「くれる」の使い方はたまにややこしいになってしまう。例えば、英語で「心配してくれて、ありがとう」の直訳は"Thanks for worrying about me"ですね。

この文は、誰かに何かをしてもらうの意味になりそうですね。英語でも、無形のものをくれるのコンセプトはあると思いますけど多分日本のコンセプトは違います。

You're giving me heart attackは日本語で直訳すると、どんな文章になりますか?

Minako Okamoto さんのコメント...

Jerfareza san, 返事が遅くなって、すみませんでした。
N3を受けたのですね。もちろん合格すればうれしいですが、たくさん勉強したことにも意味がありますよ。

「誰かに何かをしてもらう」=「誰かが何かをしてくれる」 この二つは同じことです。

You're giving me heart attack は歌詞にあれば、「君は僕をドキドキさせる/クラクラさせる」などと言えそうですが、日常会話で使ったら、ちょっと恥ずかしい感じがします。
日常会話なら、「僕は君にドキドキ/クラクラしている」などと言えるかな。
でも、日本語ではなかなか難しい表現ですね。

ちなみに、"fall in love with X" は「Xに恋に落ちる」です。これは英語とまったく同じですから、英語を日本語に翻訳した表現でしょう。

Jerfareza Daviano さんのコメント...

岡本さん、

今は結果を待つしかありませんよね
。ちょっと残念で試験の準備は十分ではないと思います。

なるほど、一緒ですよね!勉強になりました。

その文章は、日常会話で使ったら、意味は「びっくりした」とか「驚いた」になるじゃないんですか?英語では悪いことをびっくりしたときに使えると思います。

宇多田ヒカルのFirst Loveおかげで、「Xに恋に落ちる」の表現が分かって来ました。他の同じ表現はありますか?

Jorome Alexander Bennett さんのコメント...

岡本さん、
今日このブログを初めて読みました。この投稿のテーマはシンプルじゃないと思います。しかし、描き方はわかりやすいですよね。そして、読んで勉強になりました。このスタイルが好きですから、これからこのブログをよく読みたいと思います。:)

Merry Christmas and have a happy new year!

Minako Okamoto さんのコメント...

Jerfareza san
You're giving me heart attack は恋愛に関係する表現だと思いましたが、そうではないようですね。
だれかにびっくりさせられた時の表現ですか?それなら、「びっくりしすぎて/驚きすぎて、心臓発作が起きる」「あまりの衝撃で心臓発作が起きる」などと言えるのではないでしょうか?

「恋に落ちる」と同じではないけど、「一目惚れ(ひとめぼれ)」という表現を知っていますか?

Minako Okamoto さんのコメント...

Jorome san,
このブログを読んでくれて、ありがとう。
過去の投稿も読んでください。そして、質問があれば、ここに書いてくださいね。

来週はもうクリスマスですね。クリスマスを楽しんでください!そして、よいお年を!!

Jerfareza Daviano さんのコメント...

岡本さん、

恋愛が「heart attack」してくれたら、恋に落ちたくないと思います。 笑

私にとって、その表現はびっくりした時に使われます。本当の心臓発作ではなく、そのヌアンスが感じがします。英語のネイティブじゃないんですが、確かめないと行けません。

「一目惚れ」はlove at first sightですよね。この前と友達が「惚れる」を教えてくれました。

Minako Okamoto さんのコメント...

Jerfareza san,
日本語でも「心臓発作が起きる」というのはびっくりした状態の例えになります。本当に発作が起きるわけではないですね。

ところで、村上春樹は次の新作をまた雑誌に発表しました。題名は「イエスタデイ」です!

Jerfareza Daviano さんのコメント...

なるほど!時間があったら、その村上春樹の新作を探してみます。

来週はもう連休ですから、岡本さん、メリークリスマス!喜んでお過ごしください!