2015年8月23日日曜日

町の中の日本語

*English translation

突然ですが、みなさんは「標語」(ひょうご)を知っていますか?標語とは「ポスターなどに書かれた市民へのメッセージ的な文章」です。日本の場合は、よくキャラクターと共に標語が書かれていて、駅などにポスターとして貼られています。写真を見れば、すぐどんな物かわかるでしょう。下の写真が標語の一例です。



これは東京都交通局が作った標語です。私がバスの中で見つけて、写真を撮りました。
このポスターでは、駅のホームに人間ではない何かおかしなものが2匹いて、ぶつかっています。それから、電車に目と口が付いていて、びっくりした表情をしています。そして、絵の上と下に標語が書かれています。
日本人はこういう物を子どもの時から常に見ているので、何も感じないのですが、外国人にはこういうイラストでキャラクターがメッセージを伝えるのはおかしいと感じるのではないですか?
ちなみに、作家の村上春樹(むらかみ はるき)氏は「日本には標語が多すぎる。」と嘆いていました。

ところで、私がこの写真を撮ったのは別にこのイラストが好きだからではなくて、この標語の中に日本語の文法のポイントがいくつか含まれているからです。上級者には簡単でしょうが・・・
  1. ながら歩き
  2. こうなるかも
  3. やめよう
1の「ながら歩き」ってわかりますか?「携帯をいじりながら、駅のホームを歩く」という意味です。見にくいですが、実際このポスタ―の右側のキャラクターは赤い携帯をいじっています。携帯に集中して、隣りの人に気が付かずにぶつかっています。
もちろん「携帯をいじりながら」だけではなく、「本を読みながら」とか「酔っぱらいながら」とか事故を引き起こすおそれのある「ながら歩き」は色々あります。
この写真で左端が映っていませんが、英文は "No mobile phones and games while walking" です。

「ながら」の使い方は簡単だよ~と思っている人が多いみたいですが、実は日本語上級者でもよく間違えて使っています。みなさんの間違いは「ながら」="while" と思いこんでいること!「ながら」="while" と訳せますが、条件が一つあります。
「ながら」:1人の人が2つの行動を同じ時間にする
  • 私は)携帯をいじりながら、(私は)歩く。
  • 彼は)音楽を聞きながら、(彼は)運転する。 
外国人の間違いは下記の例です。
  • (私は)本を読みながら、(彼女は)テレビを見ている。
  • 雨が降りながら、(私は)走った。
最初の例では違う2人の行動を表しています。次の例で「雨が降る」は私の行動ではありません。
正しい文はこうなります。
  • 私が本を読んでいる間に/時に、彼女はテレビを見ている。
  • 雨が降っている間に/時に、私は走った。OR 雨の中、走った。
2の「こうなるかも」は「ながら歩き」のせいで、「こういう結果になるかもしれません」という意味です。
こう」は「こういう風に」や「こういう事に」などにも言い換えられます。

3の「やめよう」は「やめましょう」のカジュアル形ですね。難しくありません。

漢字も一つしか使っていない、こんなシンプルな日本語の中に便利な表現が三つも入っています!日本語の教材としてはすばらしい標語ですね。みなさんの中にも標語や広告のキャッチコピーを読んで、日本語を勉強している人がいますか?

とにかく、上の3つの表現を合わせると、「携帯ばかり見て歩いていると、事故を起こす可能性があるから、止めてください」というメッセージになりますね。まあ、正しいことを言っていますが、一人一人が注意するしかありません。この標語のおかげでどのくらい事故が減っているのでしょうね??