私はマンガを読んで成長したマンガっ子ではありません。でも、私は「マンガなんて子どもの読むものだ」と、マンガを読んだことのない人がマンガを軽視することには賛成できません。もちろん、くだらない作品もありますが、それは小説でも映画でも同じですよね。ですから、日本の大人向けマンガの質の高さを外国人もわかってくれたらな~と思います。
日本語の勉強の点から見ると、マンガでは話し言葉を見て、理解できるのがいいですね。日本人の会話を聞くだけだと、話し言葉は早くて、どんどん流れて行ってしまい、実際何と言っているのか、わからないことが多いと思います。
話し言葉を注意深く読んでいると、「って」が何回も出てくることに気がつきます。「って」は「と」の話言葉ですが、使い方が多いんですね。たくさんの使い方の中から、今日は3つだけ説明しましょう。
① ・・・・・と思う/言う/書いてある
・・・・・は考え、言ったこと、書いてあること。この引用の後に「と」をつけます。
例えば、『神の雫』の一巻では、フレンチレストランでお客さんが店員に「ロマネコンティ」(Romanee Conti) というワインを注文しました。そして、店員が店のソムリエにそのことを伝えます。
「ロマネコンティないか」って言ってます。
「ロマネコンティをくれ」って言ってます。
また、ソムリエがワインのことを知らない店員に、ワインのボトルを見せながら、次のように言います。
② X というのは/とは・・・・・です。 X は トピック。 ・・・・・は X の説明や定義です。 次はワインについて知識のない店員や友人に、ソムリエがワインはどんな物かを教えています。ほら見て。「ロマネコンティ」って書いてあるでしょ。
また、別のワインバーのマスターは気楽にワインを飲めない主人公にこう言います。ドメーヌ (domaine) っていうのは ワイン醸造業者のこと。
ワインっていうのは、ぶどうが作られた年によって、できが違うの。
③ X という Y X は物や人の具体的な名前で、Y はその物や人が何であるか。 ワインを飲むための道具を説明するシーンでは、ワインを直接グラスに注がないで、いったんガラス製の入れ物にワインを移し替えています。ワインってのは仲間と飯を食いながら、楽しむものだよ。
そして、ワインについて何も知らない主人公は、死んだ父親が残したワインコレクションをめぐって、ある人と勝負をすることになります。では、主人公のライバルはどんな人でしょう?このビンは「デキャンタ」っていって、ワインを開かせる道具なの。
この二人の勝負がこのマンガのストーリーになります。ワインについては無学の主人公がワインを飲むたびに、様々な説明があり、読者もマンガを読みながら、ワインの勉強ができます。そして、ワインの味や香りの描写がとってもおもしろいんです。「この赤ワインはイチゴの香り」とか、「カカオのような味」とか「バニラっぽい」とか言うだけではなくて、絵や音楽、昔の思い出などにたとえるので、作者の想像力は素晴らしいと感心しています。ワイン好きの方はぜひ読んでみてください。彼は「天才」って呼ばれる若手ナンバーワンのワイン評論家。
彼は「ワイン界のプリンス」って言われてる超有名人よ!