これは、明治になってもわが国に、男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる封建的な考え方が、根強くのこっていたことを物語っているものです。う~ん、やっぱり難しい文ですね。では、これらの文を助詞を手がかりに小さい部分に分けてみます。少し読みやすくなるでしょう。
- これは、
- 明治になっても
- わが国に、
- 男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる封建的な考え方が、
- 根強くのこっていたことを
- 物語っているものです。
【単語リスト】
明治:Meiji era
わが:our
男女の差別:gender discrimination
はじめとする:commencing with, including
上下の差別:hierarchical discrimination
重んずる(おもんずる):to respect
封建的な(ほうけんてきな):feudal
考え方:idea
根強く(ねづよく):firmly rooted, deep-seated
のこる:to remain, to be left
物語る(ものがたる):to tell, to indicateそれでは、6つに分けた部分を組み合わせて、文の構造を見ていきます。助詞の意味が重要ですから、助詞に集中してください。
- 1+6
これは
物語っている(ものです)。
"This indicates...."文の最初の「~は」はその文のトピックです。そして、普通それは文の最後の動詞とつながっています。1の「これ」はここには書いていない前の部分の「身分差別の存在」を指します。
"The ongoing class discrimination indicates...."「何を物語っているのか?」それをこれから理解していきましょう。
- 2+3+4+5
明治になっても
わが国に
(男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる)封建的な考え方が
(根強く)残っていた(ことを)まず、( )の部分を取って、文をシンプルにして考えます。
明治になっても わが国に 封建的な考え方が 残っていた。
"Even in the Meiji era in our country the feudal ideas were firmly rooted."次に、一番難しい4の部分を分解して考えます。
「男女の差別をはじめとする、上下の差別を重んずる」は「封建的な考え方」の説明です。封建的な考え方とはどんなもの?という説明です。そして、それは「めがねをかけている人」(a person wearing glasses) と同じパターンです。
上下の差別を重んずる 封建的な考え方
"the feudal way of thinking which favored hierarchical discrimination"そして、「上下の差別」とはどんな種類の差別を含むのか?一つの例は「男女の差別」です。
男女の差別をはじめとする 上下の差別
hierarchical discrimination including gender discrimination他の例なら、「東京をはじめとする関東地方に 雪が降った。」はどうでしょうか? "It snowed in the Kanto region including Tokyo." こんな風に訳せます。
5の部分は二つに分けて考えます。まず、「残っていた」は「封建的な考え方」とペアになる動詞です。ですが、「ことを」の「~を」は目的語ですので、この部分は動詞を必要とします。「私はお茶を飲む "I drink water" 」と同じパターンです。「ことを」に続く動詞は何でしょうか?それが、6の「物語っている」です。1+5「これは物語っている」(This indicates.) が何を物語っているのか?それが「ことを」の部分です。
そして、この「こと」によってまとめられているものが、2+3+4+5の全てです。文全体を訳してみると、次のようになるでしょうか?
This (ongoing class discrimination) indicates that the feudal way of thinking which favored hierarchical discrimation including gender discrimination was deeply rooted in Japan even in the Meiji era.
まとめとしては、どんなに長い文でも最後まで読みましょう。日本語ではメインの動詞が最後に来るので、それをチェックします。そして、その動詞の主語は何?(それは普通「は」か「が」が付いているか、省略されている場合もある。)、目的語は何?(それは普通「を」が付いている。)と、助詞をチェックしながら、確認します。
例)毎朝 私は カフェで コーヒーを 飲む。
メイン動詞:飲む、主語:私は、目的語:コーヒーそうすると、文の基本の意味がわかりやすくなるはずです。
もし、何度読んでみてもわからない文があったら、コメント欄に送ってください。
*1『少年少女日本の歴史、第17巻明治維新』146ページ、小学館、1998年
2 件のコメント:
「重んずる」は「重んじる」とも書けるんじゃないですか?違いは何ですか?
それに、勉強になった記事をありがとうございます!
Maddieさん、コメントありがとうございます。
「重んずる」と「重んじる」は同じ動詞です。違いは「重んずる」の方が古風で、「重んじる」は現在よく使われています。
おもしろい点は、辞書形は「重んじる」か「重んずる」が存在しますが、活用には「重んじる」を使うグループ2の動詞です。ます形は「重んじます」、て形は「重んじて」、た形は「重んじた」、ない形は「重んじない」、可能形と受身形は「重んじられる」、使役形は「重んじさせる」となります。
コメントを投稿