2013年5月11日土曜日

かわいそう ― "She looks pretty" doesn't exist in Japanese.

ゴールデンウィークが終わって、5月も半ばですね。東京ではさわやかな初夏の日があったり、気温が上がって夏のような日があったりしていますが、まだ蒸し暑さはなくて、快適です。ゴールデンウィーク最終日には京都大学で、日本人作家・村上春樹氏の講演がありました。抽選で選ばれた運がいい500人のみが聞きに行きましたが、もちろん私は抽選に当たる訳がなく、京都旅行の予定は消えてしまいました。

ところで、以前に「そう・らしい・よう」について書きましたが、今回は「そう」についてもう少し書いてみます。「~そう」と "look ...." を比べてみます。
例えば、「この料理はおいしそう。」という日本語を英語に訳すと、一般的には "This dish looks delicious." となりますね。

実は「~そう」と "look ...." には違いがあると私は思っています。同じ場合もあるけど、必ずしも同じではないのです。「そう」の定義は以下の通りです。
そうexpress the speaker's conjecture based on visual information. It concerns an event which might take place in the future or the present state of someone or something 
つまり、今見ているものの状態から、 そのものの本質やこれから起こる可能性を推測する場合に使うのではないでしょうか。
例1)この料理はおいしそう。:食べる前に料理を見て、これを食べたら「おいしいだろうな」と思う。
例2) この本は難しそう。:本を開いたら、漢字が多くて、この本を読むのは難しいという可能性があると思う。 
例3) 外は寒そう。:朝起きて、窓を開けて、雪が降っていたら、外の気温は低いだろうと推測する。
 
これに対して、英語の "looks + adjective" は今見ているものがどう見えているかを表すのに使うのだと思います。
look: appear, give the impression of being or doing something 
そのため、英語ではきれいな花を見て、"This looks pretty." と言ったり、大きい家を見て、"This looks big." と言いますね。でも、これらを「きれいそう。」や「大きそう。」と訳すのは間違いです。
なぜなら、ある花を見て、それをきれいだと思ったら、日本語では「この花はきれいです。」と言うからです。きれいなものを直接見ているのに、「この花はきれいだろう」という思考をしません。同様に、目の前に大きいものがあれば、可能性や推測は必要がなくて、「これは大きいです。」とはっきり言います

ですから、"She looks cute." は「彼女はかわいいです。」となります。かわいい人が目の前にいれば、「かわいいです」と断言します。くれぐれも「彼女はかわいそうだね。」と言わないようにしてください。これは間違いだけでなく、違う意味になってしまうからです。「かわいそうな」という形容詞の意味は "pitiful" で、「彼女はかわいそうだね。」は "I feel pity for her." です。

これに関係して、知り合いのアメリカ人からおもしろい話を聞いたことがあります。彼女の息子が公園で転んで、けがをして、大泣きをしていた時に、通りがかった日本人が泣いている息子に「かわいい~」と言っていたそうです。「こんな時でも日本人は外国人の子どもをかわいいと感じるのか」と彼女は思ったそうです。
この話を聞いた時、私は「違う」と思いました。実際日本人は「かわいそう~」と言っていたはずです。痛がっている子どもを気の毒に思って、そう言ったのです。でも、アメリカ人のお母さんは「かわい」と聞こえたので、「かわいい」と言われていると思ったのでしょう。おかしいですね。