2012年1月24日火曜日

Nihon or Nippon

*English translation

先日、日経新聞(日本経済新聞)を読んでいたら「ニンとニッン、どっちを使うか?」という記事がありました。ニホンを使う場合とニッポンを使う場合の例や、言葉の歴史などが書かれていて、興味深かったです。皆さんも疑問に感じたことがありますか?

私が日本語を教えてきた経験では、Japan が日本語で何か知らない方もかなり多いですし、知っている方は Japan = Nippon と思っていることが多いです。私自身の日常生活では「ニン語を話す」「ニンに住んでいる」「ニン酒を飲む」など、「ニン」ばかり使って、「ニッン」を使うのはまれです。でも、特に会社名、学校名、団体名で「ニッン」が使われることが多いようです。新聞記事の中に、「2009年の閣議(内閣による議論)でニホンとニッポンはどちらも広く通用しているので、どちらでも構わない。統一する必要はない。」と決定されたと書いてありました。

私が「ニッン」を使う例として思い浮かぶのは、唯一私が好きなスポーツ、サッカー日本代表チームを応援する時に「がんばれ、ニッン!!」と言うことです。記事にもありましたが、スポーツの場合は「ニッポン」を使うことが多くて、それには言葉の印象が関係しているそうです。「ニン」はやわらかい印象、「ニッン」は力強い印象です。
この印象の違いはみなさんもわかりますか?やわらかい「ほ」の音に対して「ぽ」は力を入れて音を出しますね。この違いが日本語の特徴の一つである擬態語/擬音語を作る原点になっていると思います。

は行(はひふへほ)の印象はやわらかく、力が抜けている感じです。また、ぱ行(ぱぴぷぺぽ)の印象は軽く、はじける感じです。『日本語擬態語辞典』(*1)に書かれている例を見てみましょう。
ら:意味もなく軽薄に笑うさま。あいまいに笑うさま。また、言動が軽々しい感じ。 
これは楽しく笑うのとは違って、理由がないのにだらしなく笑っていることです。みんなが真剣に何かをしている時に、力を抜いて気味悪く笑っている人、時々いますね。
ら:①軽薄によくしゃべるさま。 ②外国語を流暢にしゃべるさま。 
外国語を上手に話すことを「ぺらぺら」というように、これにはある程度のスピードがあって 、テンポの良さが感じられます。
このようにそれぞれの行に音の特徴があります。特にわかりやすいのが「行」「行」と「行」「行」ではないでしょうか? 行は軽い、かたい感じで、行はさわやかな感じです。これに対して「」が付く行と行はあらい、不快な感じがあります。

そして、こういう音の印象は日本人だけが感じるものではなく、ある程度、万国共通だと私は思っています。例えば、英語の"pop"()という単語は先ほど述べた行の印象と同じで、「(軽く)はじける、(軽く)飛び出る」という意味がありますね。また、"crisp"(プ)も、の音から「かりかり」「さくさく」といった食べ物をかんだ時の軽快な音と同じ印象です。みなさんはどう思いますか?英語以外の言語でもこんなことがありますか?

*1 『日本語擬態語辞典』、五味太郎(ごみ たろう)、講談社、2004年
新聞記事を読みたい方はこちらをクリック⇒ 日本経済新聞の記事 

17 件のコメント:

alism1706 さんのコメント...

そうなんですか!
勉強になりました:D

minako okamoto さんのコメント...

Alism san, コメントありがとうございます。
外国ではNipponの方が知られているのはどうしてですかね?ご存知ですか?

zoomingjapan さんのコメント...

海外では「ニッポン」の方が普通だと思います。
理由は知らないですが、たぶん言いやすいでしょう。

minako okamoto さんのコメント...

Hi Zoomingjapan, コメントありがとう。
そうですか、ただ言いやすいからなんですね。でも、それが一番の理由ですね。

Chris さんのコメント...

岡本さん、こんばんは。
今度わざわざEメールをお教えくださって、ありがとうございました。
今度の投稿も面白いですね。
私もこの問題を持っているのですけれども、はっきり使い分けを説明するものは一度でも見たことがありません。ただの感で、正式的場合では「にほん」と言い、日本人の間にお互いに感情を込めて、日本を言う時に「にっぽん」とよく言うと思っています。確かにスポーツの場合に、「にっぽん」と言うことが多いですね。促音の後に、破裂音が続いて、聞いたら、よい勢いが感じられます。応援するためにこの言葉を叫ぶ時、「口触り」も「にほん」よりましだと思います。
そのほか、CDなどに「nippon pop」という言葉もよく見られますね。音楽のジャンルの専門語としての存在みたいです。
私は岡本さんの発音と意味の関係に対しての見方に賛成します。Steven Pinkerの「The Language Instinct」という本にはそれに言及した内容もあります。このようなものは言葉の精確な意味を表しにくいですが、感じの良し悪し、程度の多少など傾向性のものをなんとか表せます。多分、大昔の人間は抽象的に描写する言葉が少ないので、違う音のイメージを通じて相手に自分の意味を表すのは大切な表現の手段かもしれませんね。

minako okamoto さんのコメント...

Chris san, おひさしぶりですね。

クリスさんが最後に書いたこと
「多分、大昔の人間は抽象的に描写する言葉が少ないので、違う音のイメージを通じて相手に自分の意味を表すのは大切な表現の手段かもしれませんね。」

なるほど・・・と思いました。

それに、nippon pop って明るい楽しい音楽のようでいいですね!

ジョン さんのコメント...

外国人は確かにNIHONよりNIPPONのほうを見かけるかもしれませんね。面白いです。

Chris さんのコメント...

岡本さん、こんばんは。
岡本さんは多分「ゴルゴ13」という漫画を知っているでしょうね。無口な主人公のデューク東郷はよく単刀直入に「用件を聞こうか」と依頼人に依頼内容を聞きます。そのセリフもゴルゴ13の一つの代表的なものになっています。でも、この話にはちょっと分からないところがあります。どうしてここの動詞は「言う」とか「教える」とかではなく、「聞く」なのでしょうか。ものを聞くのは勿論東郷ですが、「動詞+意志助動詞+か」という文型はよく相手に提案する、勧誘する時に用いられるものなので、ちょっと両者が矛盾するという感じがしています。
自分なりに考えだした答えは、これはこの文型の独り言の使い方なのかもしれないと思います。そう考えても、あまり落ち着かない感じです。岡本さんにお伺いいたしたいです。
ありがとうございます。

minako okamoto さんのコメント...

Jon san, 元気ですか?

ニホンより ニッポンの方が言いやすいですよね。
この記事によると、大昔から二つの発音が存在していたようです。でも、当時はnihonというより、nifonに近い音だったそうです。「はひふへほ」の発音の仕方が変化したのですね。

minako okamoto さんのコメント...

クリスさん、質問に答えますね。

マンガの登場人物が「用件を聞こうか」と依頼人に依頼内容を聞きます。
どうしてここの動詞は「聞く」なのでしょうか。「動詞+意志助動詞+か」という文型はよく相手に提案する、勧誘する時に用いられるので、両者が矛盾するという感じがしています。

↑これが質問でしたね。実は私はこの使い方を今まで疑問に感じたことがありませんでした・・・クリスさん、注意深くマンガを読んでいますね!

クリスさんが書いたとおり、「これは独り言に近い」という考えが適当だと私も思います。

「今から音楽を聞こうと思います。」という文が話し手の意思を表すのと似ていますね。

この文が独り言になると、「今から音楽を聞こうかな。」と言います。これは「かな」があるので、ちょっと弱い意思決定の感じがありますね。

マンガで「(私はあなたの悩みを)聞こうか。」と言ったのは、話し手の意思を表しています。この場合は相手が悩みを話さない限り、話し手(東郷)は聞くことができないのですから、「聞こうか」の文には「相談を始めましょうか」という相手への勧誘も含まれていると思います。

ちなみに、私は「ゴルゴ13」は見たことがありません。マンガには詳しくないんです。とくに男の子/男性向けのものは全然わかりません・・・

Chris さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
Chris さんのコメント...

岡本さん、ご解説ありがとうございます。
勝手に岡本さんがこの漫画のことを知っていると推測して、失礼いたしました。すみませんでした。
この文型は相手によく勧誘と提案として用いられるので、文中の動作は相手がしてほしいの、少なくとも話者と聞き手と一緒にするのだというような感じがして、独り言の使い方では自分一人だけの状況で、自分に尋ねる方式でしたいことを言い出すのだと思っていました。それで、例の文中の動作の主体はどちらかとちょっと当惑しました。
今、すっかり分かりました。前の部分は自分の意志を言い、後の「か」は相手に自分のこの意志に対する気持ち、許可などを尋ねるのだというのですね。
ありがとうございました。

Chris さんのコメント...

岡本さん、こんばんは。

岡本さんの「の」と「こと」を説明する文によりますと、日本語にはある動作をひとつの概念と物事として言う時にはこの動詞を名詞化する操作は必要ですね。実は、前から私もずっとそう思っています。でも、私の経験では、日本語の動詞の名詞化は一般的に文の主語、目的語、それに名詞文の述語のところにあるだけです。あるいくつかの場合に、名詞化する必要があると思った動詞が実はそうしていないのをよく見ています。

例えば、「動詞+がいい」です。よく言われている話で、文中の動詞が指す動作をすればいいという意味で、理解しやすいですが、文中の動詞のあとに名詞化する作用の形式名詞があるべきですか。あるべきだったら、省略されたのでしょうか。

目的を表すための文型「動詞+(の)+に」は文中の「の」がある、ない両方の文も見たことがあります。この二つの形式は区別がありますか。読んだひとつの文法書は目的を表す「動詞+に」の形がただ「動詞+の+に」の「の」を省略したもので、区別はないと言っていますけれども、「に」の前に形式名詞がなく、直接に動詞を接続する文型はほかにもたくさんあるようです。

学生であるにもかかわらず、毎日遊んで勉強しない。
寒いにもかかわらずみな汗を流しながら働いている。(「寒い」は形容詞ですが、日本語では動詞と同じように用言なので、ここに動詞と同じように見えるでしょう。)
冬がすぎたにもかかわらず、大雪が2日も続いた。

おじいさんは年をとるにしたがって、耳も遠くなり、目も悪くなってきた。
汽車が北へ進むにしたがって気温が下がっていった。
工業化が進むにしたがって国民の生活も高められた。

泣くに泣けぬ思い
言うに言われぬ苦しみ
行くには行くが、少し遅れる。

ですが、「・・・に対して」という文型は前の部分が動詞であると、名詞化する必要があるようです。

品詞はどんな言語にとっても、接続のひとつの大切な標準だと思っています。品詞そのものは人がそれぞれの語の作用とお互いの関係に基づいて概括したものでしょうね。ですから、格助詞としての「に」はよく直接に動詞に接続することに対してよく分かりません。二種類の状況がありますから、省略の容認の標準を知りたいです。もし、例の文中の「に」は格助詞ではないのでしょうか。

もうひとつちょっと分からないものは動詞と形容詞は一般的に直接に「だ」に接続することができませんが、「だ」の否定形「じゃない」に直接することができることになります。例えば、「これは面白いじゃない(か)」、「これを知っているじゃない(か)」とかというような話です。この「じゃない」をムードの助詞と見られる理論を見たこともあります。「じゃない」の前に「の」を付けると、文の意味とムードがちょっと変わるようです。それに、「コーヒーを飲むか」「コーヒーを飲むじゃねーよ」のような会話もよく聞かれています。前の文の述語の性質を無視して、直接に接続して、相手の話しを強烈に否定するという意味のようなものですね。
日本語は単に品詞と一般的な規則に従って、文を分析するのは難しいようです。よくそれぞれの問題を実際に特別に扱わなければならないと思います。それにしても、私は日本語の現象から裏に潜んでいる法則を見つけたいのです。かならずもっと頑張ります。

カヨ さんのコメント...

岡本さん、おはようございます。
文を読みましたが、ちょっと疑問があります。
ここで提出いただきます。
文の中で「皆さんも疑問に感じたことがありますか?」を書いていたんでしょうね。
普通、疑問「を」感じると使っていますが。どうしてここは「に」を使うんですか?
迷惑をかけて、申し訳ございません。

minako okamoto さんのコメント...

カヨさん、コメントありがとうございます。
質問に答えますね。

まず、「幸せ」という単語を例に使ってみましょう。「幸せ」は名詞、「幸せな」は形容詞です。

1.Aに Bを 感じる。
毎日元気に生活していることに 幸せを 感じる。

2.Aを Bに 感じる。
毎日元気に生活していることを 幸せに 感じる。

1の文は「Aの中に幸せを感じる/見つける」という意味です。

2の文のBはな形容詞で、「Bに」は副詞的な使い方です。Aは目的語になります。

1と2の文の意味やニュアンスの違いはないと私は思います。どちらを使ってもいいのではないでしょうか。

また、「さびしさ」と「さびしい」を使ってみると、次のようになります。

1. あなたが帰国することに さびしさを 感じる。

2.あなたが帰国することを さびしく 感じる。

「さびしい」はい形容詞なので、2の副詞的な使い方では「さびしく」に変化しています。

では、私が書いた「・・・を疑問に感じる」という文ですが、「疑問」は名詞なので、な形容詞と同じように、2の文では「Aを疑問に感じる」と言うことができます。

この説明でわかりましたか?

minako okamoto さんのコメント...

クリスさん、質問の回答をまだしてませんね。すみません。間もなく答えを書きますので、もう少しお待ちください。

minako okamoto さんのコメント...

クリスさんの質問の一つに答えます。(やっと!)

>動詞と形容詞は一般的に直接に「だ」に接続することができませんが、「だ」の否定形「じゃない」に直接することができることになります。
例えば、「これは面白いじゃない(か)」「これを知っているじゃない(か)」

クリスさんはこう↑書きましたね。
こういう言い方はあります。ただ、「か」は必ず必要です。「か」のない使い方は間違いです。

例えば、上司が部下に「君の考えははおもしろいじゃないか。」「君はこれを知っているじゃないか。」と言います。(1)

「君の考えはおもしろいと思うよ。」「君はこれを知っているだろう?」という意味ですが、目上の人からえらそうに言われている感じです。(*目上の人が使えば、失礼な言い方ではありません。)

友だち同士や同じレベルの人たちが話す場合は、「んじゃない」や「でしょ」を使います。

「山田くんの考えはおもしろいんじゃない?」「山田くんはこれを知っているでしょ?/知っているんじゃないの?」(2)

「んじゃない」や「んです」を使うと、文の印象がやわらかくなったり、相手からの説明を求めると言われていますね。

でも、(1)の場合は、100%ではないけれど、断定に近いことを目上の人から言われているので、「ん」を使って印象をやわらかくしたり、相手の説明を求める必要がないのかもしれませんね。私の推測ですが・・・