2011年12月23日金曜日

良いお年を

わー、もう年末ですね。クリスマス休みが始まった人も多いでしょうね。2011年は日本にとって厳しい年でしたね。地震、津波、原発の被害のために苦しい思いをしている方が大勢いますし、自然の脅威には勝てないのだという事実を目の当たりにしました。また、原子力発電という当然のように利用していた物への疑問や今後のあり方を考えざるを得なくなりました。あの大きな地震の揺れと、止められない津波の威力、失ったものの大きさ、放射能の不安を通して、日本人はみんな今までとは違う目で「生きること」を見るようになったと思います。 みなさんの一年はどうでしたか?いい年でしたか?

さて、今日は「いい」をキーワードに書いてみます。もちろん、いい=good, nice, ok の使い方は知っていますね。普通、「いい」は好意的な意味として使われています。Facebook の日本語版では "like" が「いいね」となっています。たしかに、この"like" を「好き」と訳してしまうのは変なので、いいね」が適訳です。

しかし「いい」は好意的な使い方だけではなく、「皮肉」や「非難」を込めた言い方でもよく使われています。今から、いくつかの例を紹介します。
約束を何回も破った人が言い訳ばかり言っています。
そんな時、こう言い返したくなりますね。
  • 言い訳はもういい
この意味は「あなたの言い訳はもう聞きたくない。もう必要ない。」ということ。この「いい」には皮肉/非難が含まれています。  
「これはいい」も似ている使い方です。
クリスマスプレゼントをたくさん選んでいる時に、こんな風に言うかもしれません。
  • これとこれとこれを買うけど、これはいいや。
ここで「これはいい」= "This is good." ではありません。
「これは必要ない」という意味ですが、皮肉/非難の感じはありません
でも、「これはいい」= "This is good." の場合もあるので、文脈や場面、話し手の言い方を理解してはじめて、本当の意味がわかります。
他には、「迷惑」など、決して「いい」ものではない単語に「いい」を付ける場合もあります。
年末だからって、隣の人は毎晩パーティーをするので、うるさい。
  • 本当にいい迷惑だよ!
「いい」がなくても、文が成り立ちますが、「いい」を付けると、皮肉/非難が強まります
「いい年」という表現もあります。ここで「年」=年齢のことです。その年齢にふさわしくないことをしている場合に使われます。
  • 山田さんは30才。でも、彼はいい年して、まだ一度も 働いたことがない。
「30才なら働いているべき。20才の大学生なら、遊んでいていいけど、30才はそれほど若くないよ」という意味です。皮肉/非難がたっぷりです
最後に「いい加減」を紹介しましょう。加減=状態、程度なので、文字どおり訳すと、「いい加減」=程良い。でも、こちらの意味で使われることは少なく、主に皮肉/非難を込めた使い方になります。
いい加減な人=無責任な人
  • 彼はいつまでたっても貸したお金を返してくれない。いい加減な人だ。 
  • 彼女に仕事を頼むと、いつも間違えが多い。彼女はいい加減に仕事をしている。
気を配らずに、適当に何かをするという意味です。

ただ、「いい加減にして」は「いい」の2つの意味が混じっている感じがあります。
文句ばかり言っている友人に対して、いらいらした場合。 
  • 文句はいい加減にして
これには「程良いところでやめてください+いつまで文句を言っているんですか?(皮肉/非難)」の2つが表わされているような気がします。 
 たくさん例があって、長くなってしまいましたが、 「いい」には否定的な使い方があることはわかってもらえましたか?英語でも "That's great." を「すごい!」という意味ではなく、嫌みたっぷりで使うことがありますよね。ですから「いい」という単語を聞いても/見ても、それが必ずしも "good or nice" ではないことを覚えておいて、文脈の中で意味を確認してみてください

では、これが今年最後の投稿となります。今年、私のブログを読んでくれた方たちに感謝します。みなさんの日本語への興味がもっと高まるよう、来年もおもしろいテーマを探すつもりです。質問もお待ちしています。

Merry Christmas !  そして、良いお正月を迎えてくださいね。

11 件のコメント:

Hira さんのコメント...

ありがとう!
ほんとに勉強になりました!

zoomingjapan さんのコメント...

Merry Christmas!!
クリスマスイブを何をしますか。
こういう時には、本当にドイツに帰りたいですね・・・
今日、仕事から帰ってから、Skypeで家族と話しました。

-chochajin

minako okamoto さんのコメント...

Hira san, Chochajin san, Merry Christmas!
クリスマスは毎年家族と過ごします。たくさん食べました!
2011年最後の週も元気に過ごしましょうね。

Chris さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
Chris さんのコメント...

岡本さん、Merry Christmas.
やっと、岡本の新しい投稿を読んで、非常にうれしいです。私は「言い訳はもういい」の「いい」は皮肉か非難ではないと思いますが。皮肉と非難と言うと、表面的にプラスの表現を用いて、実際に非常に不満なと憤った気持ちを表すものだと思っています。ここの「いい」は何かがいいか悪いかではなく、何かをしなくてもいいとか、もう十分なので、あとは必要がないとかではないだろうかと思います。そして、「言い訳はもういい」はあなたの言い訳はもう十分なので、別にしなくてもいいと言ってるのではありませんでしょうか。つまり、このような表現はまだ直接的な言い方だと思います。
私にとって、典型的な皮肉と非難の表現は「よくできました」とか「よく来られたもんだ」とかだと思っています。この「よく」は「いい」の副詞としての形式と見られるでしょう。元の意味では行為が結果的に望ましいことであったという気持ちを表すのでしょう。でも、例のような言い方では実際に相手の見苦しいとんでもない行為に対する驚きそして皮肉と非難を表すのでしょうか。それで、このようなものが典型的だと思いになっております。岡本さんが言った「本当にいい迷惑だよ!」もこのような典型的な言い方のひとつだと思います。
岡本さんはいかがご存知ですか。
実際は、岡本さんのブログは今月に私はひとつの問題を調べていたとき、検索エンジンで見付けたのです。その時、本当に何かお宝のような物を発見した気持ちをしました。私も言語の構造と文法に関する事にずっと夢中しています。それで、的確に言語の経緯を述べることの困難さをしみじみと存じております。でも、岡本さんはこんな長い間にずっと優しくて詳しく日本語に関する細かい問題を解説して来まして、私は非常に感服しております。それにも、岡本さんの言語に対する、日本に対する愛をいっぱい感じ取りました。岡本さんのようなお方に出会ったのは本当に良かったと思っています。
これは今年の最後の投稿なのですが、この際に予め岡本さんに素晴らしい新しい一年をお祝い申し上げます。私も決まって愛読者としてずっと注目していきますよ。頑張ってくださいね。質問なら、私には山ほどあいますよ。絶対に岡本さんにお世話いただくはずだとぞんじしますが、申し訳ございません。今後とも、よろしく申し上げます。

minako okamoto さんのコメント...
このコメントは投稿者によって削除されました。
minako okamoto さんのコメント...

Chris san, 私のブログを愛読してくれて、ありがとうございます。

クリスさんは私以上に深く日本語について考えていますね!素晴らしいです。

「よくできました」などは相手の行為に対して本当に感心を表す場合に使います。また、クリスさんの指摘どおり、相手の行為が結果的に望ましいようになって、「それをあなたができたの!?」という「皮肉」を含むこともありますね。

場面や口調がその差を産むのでしょうね。

ですから、「もういい」は必ずしも「皮肉/非難」の意味というわけではありません。
ただ、相手の見苦しい行為に対して驚きや怒りを感じた場合は、いやみたっぷりに言うと、特に「非難」を含むこともあると思います。

ところで、このブログのトピックは全て、私の生徒たちからの質問に基づいています。毎日の授業の中で新しい疑問が私にもわいてきます。語学の勉強は終りがありませんね。

クリスさん、来年もたくさんのことを学んでくださいね。いつでも質問してください。私も答えを一生懸命考えますよ。

ジョン さんのコメント...

僕はとくに「いい年して」という表現が好きですね。
良いお年を!

minako okamoto さんのコメント...

ジョンさん、今年もこのブログを読んでくれて、ありがとうございました。

「あなたもいい年して、まだこんなことしてるの?!」と言われない大人にならないといけないですね。

Chinese Circle of Ithaca さんのコメント...

Thanks for your postings! It is very educational to read them! Keep posting in 2012!

minako okamoto さんのコメント...

Ithaca san, コメントありがとうございます。いいお正月を過ごしましたか?

今年もブログの投稿ができるだけ多く、できるだけおもしろく書けるようにがんばります。