2010年4月27日火曜日

マンガの言葉

私は今一人の生徒といっしょに『神の雫』(かみのしずく)というマンガを読んでいます。これはワインをめぐるヒューマンドラマで、話の展開を楽しみながら、ワインについてたっくさん学べるのです。外国人から見ると、「何で大人がマンガを読んでいるの?」「大人なら、マンガじゃなくて、小説を読むべきだ」というふうに思うでしょう。でも、日本の大人向けのマンガには専門的なテーマの中で、色々な人間関係が描かれているというパターンが多くて、小説がマンガというスタイルをとっていると言えるでしょう。

私はマンガを読んで成長したマンガっ子ではありません。でも、私は「マンガなんて子どもの読むものだ」と、マンガを読んだことのない人がマンガを軽視することには賛成できません。もちろん、くだらない作品もありますが、それは小説でも映画でも同じですよね。ですから、日本の大人向けマンガの質の高さを外国人もわかってくれたらな~と思います。

日本語の勉強の点から見ると、マンガでは話し言葉を見て、理解できるのがいいですね。日本人の会話を聞くだけだと、話し言葉は早くて、どんどん流れて行ってしまい、実際何と言っているのか、わからないことが多いと思います。

話し言葉を注意深く読んでいると、「って」が何回も出てくることに気がつきます。「って」は「」の話言葉ですが、使い方が多いんですね。たくさんの使い方の中から、今日は3つだけ説明しましょう。

① ・・・・・思う/言う/書いてある 
・・・・・は考え、言ったこと、書いてあること。この引用の後に「と」をつけます。
例えば、『神の雫』の一巻では、フレンチレストランでお客さんが店員に「ロマネコンティ」(Romanee Conti) というワインを注文しました。そして、店員が店のソムリエにそのことを伝えます。

「ロマネコンティないか」って言ってます。

「ロマネコンティをくれ」って言ってます。

また、ソムリエがワインのことを知らない店員に、ワインのボトルを見せながら、次のように言います。

ほら見て。「ロマネコンティ」って書いてあるでしょ。


② X いうのは・・・・・です。
X は トピック。 ・・・・・は X の説明や定義です。
次はワインについて知識のない店員や友人に、ソムリエがワインはどんな物かを教えています。

ドメーヌ (domaine) っていうのは ワイン醸造業者のこと。

ワインっていうのは、ぶどうが作られた年によって、できが違うの。


また、別のワインバーのマスターは気楽にワインを飲めない主人公にこう言います。

ワインってのは仲間と飯を食いながら、楽しむものだよ。


③ X という
X は物や人の具体的な名前で、Y はその物や人が何であるか。
ワインを飲むための道具を説明するシーンでは、ワインを直接グラスに注がないで、いったんガラス製の入れ物にワインを移し替えています。

このビンは「デキャンタ」っていって、ワインを開かせる道具なの。

そして、ワインについて何も知らない主人公は、死んだ父親が残したワインコレクションをめぐって、ある人と勝負をすることになります。では、主人公のライバルはどんな人でしょう?

彼は「天才」って呼ばれる若手ナンバーワンのワイン評論家。

彼は「ワイン界のプリンス」って言われてる超有名人よ!


この二人の勝負がこのマンガのストーリーになります。ワインについては無学の主人公がワインを飲むたびに、様々な説明があり、読者もマンガを読みながら、ワインの勉強ができます。そして、ワインの味や香りの描写がとってもおもしろいんです。「この赤ワインはイチゴの香り」とか、「カカオのような味」とか「バニラっぽい」とか言うだけではなくて、絵や音楽、昔の思い出などにたとえるので、作者の想像力は素晴らしいと感心しています。ワイン好きの方はぜひ読んでみてください。

2010年4月6日火曜日

動詞 プラス 副詞

お久しぶりです。2月末から3月末まで約一カ月、原因不明の神経痛に悩まされ、ブログを書く余裕がありませんでした。痛い部分は左の歯、あご、こめかみ、頭、首、肩など。時に、針でさされるようなチクチクした痛み、時に、神経の中からジンジンひびく痛み、時に、頭やあごをギュ―ッとしぼられるような痛み。がまんできなくて、死ぬほど痛い時もあり、本当に大変でしたが、先週から急に痛みがなくなって、元気になりました。良かった、良かった。

上に書いた「チクチク、ジンジン、ギュー」などの擬態語は動詞や形容詞の状態をよりくわしく表すために使われています。これらは、副詞です。今日は「動詞」と「副詞」の関係を見ていこうと思います。
では、料理を始めましょう。まず、材料を切ります。
じゃがいもを大きく切る。

にんにくを小さく細かく切る。

たまねぎをうすく切る。

きゅうりを細く切る。
「切る」とは、刃物(はもの)などで一続きの物を分離させることです。それに切った物の形を「大きく」とか「小さく」を付け加えることで、どんな風に切るかを表します。英語では"cut"の他に"chop" や"slice"なども使いますよね。

では、次に火を使って、食べ物に熱を通して、食べられるようにしましょう。次の文がどんな料理法なのか、想像できますか?

肉をジュージュー焼く。

鶏肉を丸ごとオーブンでこんがり焼く。

ケーキをふんわり焼く。

バターとジャムをぬる前に、パンを焼く。

これは上から、英語で"grill, roast, bake, toast"になるかな?動詞は「焼く」一つだけなのですが、副詞を一緒に使うことで、焼き方のちがいが表されます。もちろん、副詞は必ずしも必要ではないのですが、副詞があるとイメージがわきやすいですね。

ここで、疑問が一つ。日本語は英語より動詞の数が少ないのでしょうか?だから、擬音語、擬態語がたくさんあるのでしょうか?

でも、ちょっと待って。"break" は「壊す、割る、折る・・・など」日本語の方が動詞が多いし、"wear" も「着る、はく、かぶる・・・など」色々あります。

何でだろう??と思った時に、あるルールがわかりました。日本語の方が動詞が多くて、使い分けをしなければいけない場合("break"や"wear" ) は、「何を?」の部分が特定されています。break + 機械なら「壊す」、break + ガラスなら「割る」、またはwear + トップスなら「着る」、wear + ボトムスなら「はく」など物によって、動詞が決まります。

でも、「切る」や「焼く」のように、物が何でもありえる場合は、一つの動詞+副詞で違いを表しています。たとえば、同じジャガイモを大きく切ったり、小さく切ったり、うすく、または細く切ることができます。ジュージュー焼くのは肉だけではなく、魚を網の上でジュージュー焼くことができるし、オーブンで焼くこともできますね。

次の「見る」+副詞の文はどうでしょうか?「視覚によって物の形、色、様子などを知覚する」という行為は、見る物が何でも同じです。ですから、色々な副詞を使って、動詞の意味が広がっていきますね。

山田さんと田中さんは公園にサクラを見に来ました。

山田:サクラがきれい!田中さん、ちらっと見ただけじゃん。よく見て!

田中:ねえ、あの人が山田さんのこと、じろじろ見ているよ。

山田:いやだ、もう行こう。これから映画を見ない?