2009年3月31日火曜日

日本の花・桜 sakura

桜の季節です。桜は日本人が大好きな花。もちろん私も。どうして日本人にとって、桜がこんなに特別か考えてみると、みんなそれぞれ、桜に関する思い出があるからではないでしょうか?日本の学校の庭には必ず桜の木が植えてあるはずですから、桜を見ると、子ども時代の思い出と結びついて、なつかしい気持ちになります。そういう気持ちが一人一人にあるのだと思います。

桜が満開になった後は、残念ですが、桜は散ってしまいます。風に舞って、空中をひらひら散っていく桜も美しいですね。この「散る」という単語、「物や人が分かれて、広がる」という意味があります。日本語では「桜(花)が落ちる-"fall"」とは言いません。「花が落ちる」のイメージは花が丸ごとボトッと下に落ちる(↓)感じで、美しくありません。桜は美しい花ですから、趣(おもむき)がある詩的な表現を使うべきですね。
他の例では、集中できない状態を「気が散る」と言います。

また、"fall"に関して日本語と英語はちがうな~と感じるものは "A tooth fall out." これは「歯が落ちる」とは言いません。「歯が抜ける」です。「抜ける」は「中にあるものが外に出る」という意味があります。例えば、すごくショックなことがあった時には「力が抜けてしまいます」。

他にも、"Rain/ Snow falls."は 「雨/雪が降る」ですね。「降る」は「空/上から物が落ちて来る」という意味です。雨と雪以外に空から降ってくる物があると思いますか?村上春樹(むらかみ はるき)の小説『海辺のカフカ』では、「東京のある町に2000匹の魚が降って来る」という話があります。

では、また桜の話に戻りましょう。桜の花を見ることを「花見」と言いますね。この花見の歴史はとても古くて、平安(へいあん)時代(794~1192年)に貴族の間で行われていたそうです。庶民に広まったのは江戸(えど)時代(1603~1867年)で、将軍が指示をして、江戸のいろいろな所に桜をたくさん植えて、花見の名所を作ったそうです。当時、花見情報を書いたガイドブックもあったと聞いたことがあります。

それから、花見の用語も少し紹介しましょう。
暖かくて、晴れの日は花見日和(はなみびより)です。朝から場所取りをしましょう。そうしないと、桜が見えない場所やごみ箱のそばでお花見をすることになってしまいます。そして、夜の桜、夜桜(よざくら)を見ながら、花見酒(はなみざけ)を飲む。これが一般的なお花見です。

東京では今週末、桜が満開になりそうですね。みなさん、楽しんでください。



2009年3月15日日曜日

矢印が見える?

昨日は3月14日、ホワイトデー、今日は3月15日、3月の真ん中で、東京はすっかり暖かくなりました。3月25日には桜が咲く予定、つまり「桜の開花予想日」も間もなくです。桜の開花予想はこの時期に天気予報で発表されます。
温暖前線、寒冷前線という天気の前線は世界どこでもあるでしょうが、日本には桜の開花が南から北に移動していくペースを表示する「桜前線」もあります。桜は本当に日本では特別なモノですね。


さて、今日は以前に質問があった「かける」について書きます。この動詞にはたくさんの意味がありますね。と言うより、多すぎます。例えば、

  • 友だちに電話をかける (call)
  • 絵を壁にかける (hang)
  • ドアのかぎをかける (lock)
  • お金をかけて、ゲームをした (bet)
  • とうふにしょうゆをかける (pour)
  • 家までかけて、帰った (run)
  • 2 かける 3は 6 (multiply) などなど・・・

でも、今日は一つの意味だけに注目しましょう。まず、次の文を比べてみてください。

  1. 私は 旅行のことを 友だち 話した。
  2. 私は 旅行のことを 友だち 話した。


何か、違いを感じますか?1の「」は動作の方向性を表しているので、「私→友だち」、一方通行に話している絵が見えます。2の「」は対等の立場を表しているので、「私→友だち」と「友だち→私」お互いに話している絵が見えます。 ある本(*1)に良い例があげられています。

  1. 僕は 彼女 キスをした。
  2. 僕は 彼女 キスをした。


1は「僕が彼女に近づいていく様子」、2は「二人がお互いに近づいていく様子」が目にうかびます。
「電話をかける」の「かける」には、この「」と同じ役割があると思います。「相手に向かって、なにかをする」 次の例も同じ意味ですね。「私→彼」の絵が見えますか?

  • 私は 彼に 声を かけた
  • 私は 彼に めいわくを かけてしまった。
  • 私は 彼に 大きな期待を かけた


それから、「動詞+かける」の例には「話しかける」や「笑いかける」などがあります。これらも「ある人から相手に向かう動作の方向性」が表わされています。しかし、どの動詞にでも使える訳ではなくて、使える動詞は限られています。例えば

  • 通りで友だちを見たので、私は 彼女に 呼びかけた
  • 私が 彼に 問いかけると、彼は 答えてくれた。
  • 私は みんなに 真剣に 語りかけた
  • 犬が逃げてしまったので、私は 犬を 追いかけた
  • 私は 友だちに 相談を 持ちかけた
  • この会社の協力を得るために、私は 彼らに 働きかけている


さらに、「私は友だち話した」と「私は友だちに話しかけた」の違いは、「話しかける」は「相手の名前を呼んで、会話をスタートさせる最初の行為」です。例えば、「山田さん、元気?」と言って、話し始めることは「話しかける」です。その後、何かについて友だちに話す、または話しつづける。

また、「話しかけて来る」なら、「他の人の行為が私に向って来ること」を表しているから、「他の人→私」の絵になります。

  • 急に 彼は 私に 話しかけて来た
  • 急に 私は 彼に 話しかけられた。(受け身形)

上の二つの文は同じ状況を表しています。あ~、どんどん複雑になりますが、とにかく「かける」の方向性、つまり、矢印(→)の向きがわかれば、良いのではないでしょうか?まだ、質問があれば、ぜひ聞かせてください。

(*1)『問題な日本語』、北原保雄編、大修館書店、2004